2009 Fiscal Year Annual Research Report
1,3-不斉転写を鍵とする分子内SN2'型環化反応と複素環状天然物の全合成研究
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21590030
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
上西 潤一 Kyoto Pharmaceutical University, 薬学部, 教授 (50167285)
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Keywords | 1,3-不斉転写 / 分子内SN2'型環化反応 / 天然化合物 / アルカロイド / マクロライド / 全合成 / Pd-catalyst / 選択的反応 |
Research Abstract |
申請者は、これまでε位やζ位に水酸基やアミノ基を有する光学活性アリルアルコールに、2価Pdを作用させる事で、1,3-不斉転写を伴う光学活性酸素環状化合物や窒素環状化合物の合成を行なって来た。しかしながら、この反応の原料を合成するには、光学活性アリルアルコールをその基質毎に作り出す必要があった。今回、クロスメタセシス反応を用いる事により、水酸基やアミノ基を有する末端アルケン化合物と光学活性アリルアルコール部分を結合させることにより、簡便に環化前駆体を合成する事ができた。この方法により、合成段階を簡略化できるとともに、前もって複数の各ユニットを準備しておくことにより、フレキシビリティの高い光化学活性複素環化合物の合成が可能になった。 また、この1,3-不斉転写を伴う光学活性窒素環状化合物の一環として、光学活性テトラヒドロイソキノリンについて試み、2価Pd触媒による環化では3:1の選択比でしか反応が進行しなかったが、新たにビスマストリフラートを触媒として用いる事により、高い不斉収率、高い化学収率で目的の光学活性テトラヒドロイソキノリンが得られる事を見いだした。しかしながら、単純なピペリジン環の合成ではビスマストリフラートは効率的な触媒としては機能しないことが明らかにした。 一方、2,6-トランスジヒドロピラン環を有するアピクラレンAの環化反応はほぼ完全に立体特異的に進行し、目的の骨格に導く事が出来た。 また、この反応の基になるオキシパラデーションのメカニズムはこれまで長く議論されてきたが、分子間における不斉転写のメカニズムがシンオキシパラデーションを介して進行する事を証明できた。
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Research Products
(4 results)