2010 Fiscal Year Annual Research Report
1,3-不斉転写を鍵とする分子内SN2'型環化反応と複素環状天然物の全合成研究
Project/Area Number |
21590030
|
Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
上西 潤一 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (50167285)
|
Keywords | 1,3-不斉転写 / 分子内SN2'型環化反応 / 天然化合物 / アルカロイド / マクロライド / 全合成 / Pd-catalyst / 選択的反応 |
Research Abstract |
申請者は、1,3-不斉転写を伴う光学活性酸素環状化合物や窒素環状化合物への環化反応の研究を行なって来た。この申請計画に従って、平成22年度は以下の結果を得る事が出来た。 (1) がん細胞に対してナノモルレベルの濃度で強力な殺細胞毒性を有する抗がん活性天然化合物アピクラレンAの全合成を達成できた。特にその全合成におけるアプローチは、PdCl_2(CH_3CN)_2を触媒に用い1,3-不斉転写を伴うエンド型環化反応を用いるジヒドロピラン環形成であり、完壁な立体制御でこの反応を進行させる事が出来た。またジヒドロピラン環上の11位α水酸位を側から位置選択的に水酸基を導入する必要があったが、この立体および位置選択的反応は水銀トリフラートを用いるオキシ水酸化続く還元反応により達成することができた。過去の全合成で最も収率の悪いステップであり大きな問題であった側鎖のジエナミド部分の導入は、ヨウ化銅を等量使用する事で90%の収率で目的を達成する事ができた。そして最終的にアピクラレンAの全合成を完成する事が出来た。 (2) また、この1,3-不斉転写を伴う光学活性窒素環状化合物の一環として、光学活性テトラヒドロイソキノリンの合成について試みた。ビスマストリフラートを触媒とする方法では2価Pd触媒による環化を上回る、高い不斉収率、高い化学収率で光学活性テトラヒドロイソキノリンが得られる事を見いだし、その反応のscope and limitationを明らかにする事が出来た。特に、6位水酸基やメトキシ基ではSN1'型の反応により不斉転写率が著しく低下したが、これをアシルオキシ基とすることにより、高い1,3-不斉転写率を達成した。
|
Research Products
(5 results)