2010 Fiscal Year Annual Research Report
コンフォメーションが固定されたピラノシドの特異な反応性
Project/Area Number |
21590036
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
眞鍋 史乃 独立行政法人理化学研究所, 伊藤細胞制御化学研究室, 専任研究員 (60300901)
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Keywords | アノメリゼーション / ピラノシド / endo開裂 / コンフォメーション / カーバメート / 置換基効果 |
Research Abstract |
糖は非対称アセタール構造であるため、endo開裂とexo開裂の2種の開裂様式が存在する。糖化学においてはグリコシル化反応や糖加水分解酵素についての反応機構において、exo開裂が広く知られてきたが、一方で、endo開裂の可能性については注目されてこなかった。我々は、2,3-transカーバメートを持つ糖構造が、弱い酸性条件下において、アノマー炭素と環内酸素の間の結合が切断されるendo開裂を容易におこし、再環化することで容易にβからαへと異性化することを見出している。endo開裂の存在について、開裂の結果生じた鎖状カチオンを分子内、分子間Friedel-Crafts反応、還元反応により捕捉することにより、証明している。 より高い異性化能力を持つ糖構造を見出すために、2,3-transカーバメートの窒素上置換基と異性化について検討した。その結果、アシル基、カーバメート基で置換すると、アルキル基置換より容易にアノメリ化反応がおこり、高い収率で完全にα体が得られることを見出した。アノメリ化反応は、-30度、BF_3・OEt_22当量、12時間という比較的温和な条件において異性化が可能である。これらの現象は、計算化学により、2,3-transカーバメートの5員環のひずみが反応のドライビング・フォースであること、置換基効果は窒素上カルボニル基により、生じた鎖状カチオンが安定化されることが明らかになった。
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