2009 Fiscal Year Annual Research Report
LC/MS/MS用高性能標識薬の開発と生体分子の高感度分析
Project/Area Number |
21590039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三田 智文 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (30187306)
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Keywords | 標識試薬 / クロマトグラフィー / 質量分析 / LC/MS/MS / 生体分子 / 新生児マススクリーニング |
Research Abstract |
近年、タンデム型質量分析器(MS/MS)が開発され、HPLCを組み合わせたLC/MS/MS法が、分析化学、生命化学、臨床化学、環境化学など広い分野で用いられるようになっている。本研究は、LC/MS/MS法における検出感度、選択性の向上のための標識試薬を開発することを第一の目的とした。そして、開発した標識試薬を用いて、疾患のマーカーとなる生体分子の高感度分析法の開発、さらには特定の官能基を有する生体分子の網羅的解析法を開発することを第二の目的とした。 既に、平成20年度までにDAABD-AEを用いた血漿中極長鎖脂肪酸(炭素鎖20~26)の高感度分析法を報告している。平成21年度は、短鎖脂肪酸の分析に適した標識試薬の開発に取り組み、DAABD-ABおよびDAABD-APを合成した。これらの試薬は、標識化部位の炭素鎖が4~5であり、DAABD-AEよりも炭素鎖が長く疎水性が高いので、短鎖脂肪酸の分析に適していると考えた。DAABD-ABおよびDAABD-APは、短鎖脂肪酸と、縮合剤存在下、60℃、60分で反応した。標識化した脂肪酸は、逆相カラムで分離し、ESI-MS/MSで検出した。標識化した脂肪酸はMS/MSによりm/z151のイオンを効率よく生じるため、SRM(selected reaction monitoring)による高感度な分析が可能であった。検出限界は、0.1-0.12pmo1/注入であり、DAABD-ABおよびDAABD-APは短鎖脂肪酸の分析に有用であることが示された。 また、平成20年度までに開発したLC/MS/MSによる極長鎖脂肪酸の分析法と遺伝子解析法を用いて、先天性代謝異常症であるペルオキシソーム病の一種、Zellweger syndromeの遺伝子の異常について検討を行った。その結果、PEX13遺伝子上の従来の報告とは異なる部位に変異を生じている患者を見出した。
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