2009 Fiscal Year Annual Research Report
認知症治療薬の開発を目指したタウ蛋白質の構造機能解析と自己凝集機構の解明
Project/Area Number |
21590050
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
箕浦 克彦 Osaka University of Pharmaceutical Sciences, 薬学部, 助教 (10278591)
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Keywords | タウ蛋白質 / 微小管結合ドメイン / 自己重合 / 認知症治療薬 |
Research Abstract |
認知症発症機構の解明は、治療薬の開発において非常に重要であることから、平成21年度は、(1)MBDの自己会合に重要な構造領域およびアミノ酸残基の同定、(2)MBD部位変異体試料の作成とフィラメント形成能および構造特性の検討、(3)MBDが有するリピート構造を特異的に認識する抗体の作成、という3つのテーマで研究を実施した。 (1)(2)の具体的な研究内容としては、MBDを構成する4回繰り返し配列をモチーフとして、さまざまな試料を遺伝子操作により作成し、それらの自己凝集能について、蛍光強度測定、CD測定、電子顕微鏡撮影などの手法を用い比較検討を行った。その結果、自己凝集には、一部の構造領域(VQIVYK配列)、特にチロシン残基の存在が不可欠であることを明らかにした。さらに、この構造領域に存在するアミノ酸残基の一部も、自己凝集に関与していると考えられた。この結果は、チロシン残基が持つ芳香環を包み込むような化合物を分子設計することにより、MBDの自己凝集を抑えることができる可能性を秘めており、認知症治療薬の開発において重要な知見である。 (3)の研究成果として、R2配列を特異的に認識する抗体を産生するマウスハイブリドーマ細胞を用い、R2認識抗体の精製方法の確立に成功し、この抗体をパパイン処理によりFabフラグメント化したものが、MBDの自己凝集能を低下させることを明らかにした。今後、Fabフラグメントの結晶化、X線結晶構造解析、並びにFab-リピートペプチド複合体の結晶構造解析を進め、その相互作用様式を分子レベルで明らかにすることが出来れば、認知症治療薬の分子設計に大きく貢献できるものと期待できる。
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Research Products
(7 results)