2010 Fiscal Year Annual Research Report
認知症治療薬の開発を目指したタウ蛋白質の構造機能解析と自己凝集機構の解明
Project/Area Number |
21590050
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
箕浦 克彦 大阪薬科大学, 薬学部, 講師 (10278591)
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Keywords | タウ蛋白質 / 微小管結合ドメイン / 自己重合 / 認知症治療薬 |
Research Abstract |
認知症発症機構の解明は、その治療薬・予防薬を開発する上で非常に有用な知見を与える。タウタンパク質の異常重合と認知症発症とは密接に関係していると考えられることから、平成22年度は、(1)タウMBD間の自己会合に重要な構造領域およびアミノ酸残基の同定、(2)タウMBDのリピート構造を特異的に認識する抗体とリピート構造複合体の結晶化、(3)タウMBDのフィラメント形成を抑制する分子の探索、という3つのテーマで研究を実施した。(1)の具体的な研究内容として、MBDを構成する4回繰り返し配列内の3番目の繰り返し構造N末端に存在するVQIVYK配列に着目してさまざまな部位変異体を作成し、それらの自己重合能について、蛍光強度測定、CD測定、電子顕微鏡撮影などの手法を用い比較検討した。その結果、平成21年度の研究成果と明らかとしたチロシン残基の重要性に加え、イソロイシン残基の存在が自己重合に大きく関与している事を明らかとした。この結果は、タウタンパク質の自己凝集における初期段階の重合機構を明らかにする上で重要な知見である。(2)の具体的な研究成果として、昨年度確立したR2認識抗体の精製法を用いR2認識抗体の結晶化に成功し、X線結晶構造解析を行った。しかしながら、可変部における構造のゆらぎにより、立体構造の構築には至っていない。そこで、R2認識抗体をFab化したFab2r3とR2リピートペプチド(VQIINK配列)との複合体の結晶化を行った。その結果、微結晶ではあるが結晶化に成功した。今後、結晶化条件の精査を行い、X線結晶構造解析が行える良質な結晶を得ることで、その相互作用様式を分子レベルで明らかにすることが出来ると考えている。(3)の研究については、我々が日常摂取する食物に着目し、タウMBDのフィラメント形成を抑制する分子の探索を行った。その結果、フィラメント形成を抑制する食物を見出した。今後、抑制分子の同定を行うとともに、さらなる探索を行い、タウタンパク質との相互作用様式を解析することで、認知症予防薬・治療薬の分子設計に大きく貢献できるものと期待できる。
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Research Products
(6 results)