2011 Fiscal Year Annual Research Report
認知症治療薬の開発を目指したタウ蛋白質の構造機能解析と自己凝集機構の解明
Project/Area Number |
21590050
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
箕浦 克彦 大阪薬科大学, 薬学部, 講師 (10278591)
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Keywords | タウ蛋白質 / 微小管結合ドメイン / 自己重合 / 認知症治療薬 / 抗体 |
Research Abstract |
認知症発症機構の解明は、その治療薬或は予防薬を設計・開発する上で非常に重要な知見となる。タウタンパク質の異常重合は、認知症の発症と密接に関係すると考えられている。平成23年度は、過去2年間の本研究成果を基にして、(1)タウ分子の自己重合に重要なアミノ酸残基の同定、(2)タウMBDのフィラメント形成を抑制する分子の探索、(3)タウMBDのリピート構造を特異的に認識する抗体とリピート構造複合体の結晶化、という3つのテーマで研究を実施した。(1)の具体的な研究成果として、前年度の研究成果である、MBDの自己重合において極めて重要であるチロシン残基とイソロイシン残基の存在が、全長タウ分子の自己重合においても極めて重要であることを明らかにした。また、両残基間において形成される相互作用が、自己重合に寄与していることを明らかとした。この結果は、タウ分子の自己重合機構を明らかにする上で極めて重要な知見であるとともに、タウの自己重合を阻害する分子の設計において有用な知見である。(2)の研究については、昨年と同様に、我々が日常摂取する食物に着目し、タウMBDのフィラメント形成を抑制する分子の探索を行った。現在フィラメント形成を抑制する食物を見出したが、抑制分子の同定については現在も研究を進めている。(3)の具体的な研究成果として、R2認識抗体をFab化したFab2r3とR2リピートペプチド(VQIINK配列)との複合体の結晶化に成功し、そのX線結晶構造解析を行った。その結果、両者の相互作用様式を原子レベルで詳細に明らかにすることに成功した。得られた知見は、認知症予防薬・治療薬の分子設計に大きく貢献できるものと期待できる。
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