2010 Fiscal Year Annual Research Report
グライコミクス技術による腫瘍関連糖タンパク質の探索と腫瘍マーカーへの応用
Project/Area Number |
21590056
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
川崎 ナナ 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 部長 (20186167)
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Keywords | 癌 / 糖鎖 / グライコミクス / プロテオミクス |
Research Abstract |
糖鎖癌抗原であるシアリルルイスxは,現在,腫瘍マーカーとして臨床応用されているが,そのキャリアタンパク質はほとんど同定されていない.報告者はこれまでに,シアリルルイスxの新規キャリアタンパク質候補としてヘテロ核リボ核酸タンパク質(hnRNP)ファミリーの一部を同定してきた.本研究の目的は,発癌とhnRNPファミリータンパク質の発現の関係,発癌とhnRNPファミリータンパク質のシアリルルイスx修飾の関係,及び腫瘍マーカーとしての可能性を検討することである 今年度は,まず,蛍光免疫染色により,大腸癌細胞株HT-29におけるhnRNP A1とA2/B1の細胞内局在を調べた.その結果,核内だけではなくゴルジ体部分への局在も認められ,昨年度解析したシアリルルイスxの細胞内分布と一部一致していた.つぎに,HT-29細胞株と胎児肺線維芽細胞TIG 1-20細胞株におけるフコース転移酵素(Fuc-T)の発現レベルを比較した.HT-29およびTIG 1-20細胞株より膜タンパク質画分を抽出し,シアリルルイスxの生合成過程に関与することが知られているFuc-T III~Fuc-T VIIについてウエスタンブロット法を行ったところ,HT-29におけるFuc-T IIIとVIの発現亢進が認められた.そこで,RNA干渉法によりHT-29における両遺伝子発現をノックダウンし,MTTアッセイにより細胞増殖能を測定したところ,Fuc-T VIのノックダウンによりHT-29の増殖能が有意(P<0.05)に低下した 以上のことから,HT29細胞において,シアリルルイスx付加タンパク質候補であるhnRNPA1とA2/B1は,ゴルジ体にも存在する可能性があること,また,シアリルルイスx生合成に関与するFuc-T VI発現は,増殖に関与していることが示唆された
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Research Products
(1 results)