2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経再生医療に応用可能なエンド型コンドロイチン硫酸加水分解酵素の同定
Project/Area Number |
21590057
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 修平 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 准教授 (70240017)
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Keywords | グリコサミノグリカン / コンドロイチン硫酸 / ヒアルロン酸 / 神経再生 / ヒアルロニダーゼ |
Research Abstract |
生体内でのコンドロイチン硫酸(CS)の代謝に関与するエンド型の分解酵素を同定し、CSの代謝機構およびその調節機構を解明しようとしている。また、その酵素を神経再生医療に応用しようとしている。 本年度は以下の研究を行った。 1. ヒアルロニダーゼ-4に関する実験 : ヒトヒアルロニダーゼ-4とマウスヒアルロニダーゼ-4は、若干基質特異性が異なることを見出した。その認識の違いを決定するアミノ酸を同定するため、様々なキメラ酵素、変異体酵素を作製し、それぞれの特異性を解析した。その結果、N-アセチルガラクトサミン残基の4位の硫酸基の認識に必須のアミノ酸残基を決定することができた。この成果については、現在論文投稿中である。 2. 酵母を用いたヒアルロニダーゼ4の大量発現系の構築 : ヒトヒアルロニダーゼ-4よりも比活性の高いマウスヒアルロニダーゼ-4を脊髄損傷の治療など神経再生医療に応用するために、活性を保持した酵素の酵母での大量発現系の構築を行なった。その結果、活性のある酵素が大量に得られた。また、それらの酵素はヒトの培養細胞で産生された酵素と同様の基質特異性を持っていた。 3. ヒアルロニダーゼ4による神経軸索の再生実験 : 北海道大学医学部脳神経外科の黒田敏博士らの作製した脊髄損傷モデルラットから、損傷部位を摘出し、その部分のCSの分析とヒアルロニダーゼ4を用いた消化実験を行った。損傷部位でCS量が増加していること、そのCSをヒアルロニダーゼ4で分解できることを確認した。 4. その他の実験:多様な構造をもったグリコサミノグリカン(GAG)を得るため、種々の生物由来のGAGの構造およびその生物活性を調べた。今年度は特に、エビ頭部とエイ軟骨に由来するGAGについて解析した。また、新規のCS合成酵素活性を検出した。これらの成果は、論文として公表した。
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