2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内寄生細菌感染によるオートファジー誘導シグナルの解析
Project/Area Number |
21590058
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢野 環 東北大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (50396446)
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Keywords | 自然免疫 / 細胞内寄生細菌 / オートファジー / 誘導シグナル / PGRP-LE |
Research Abstract |
自然免疫はほとんどすべての多細胞生物が有する免疫系であり、細菌等の感染に対する抵抗性に必須である。細胞内寄生細菌は体液中から細胞内に侵入して増殖するが、それらに対する宿主側の防御反応として、宿主の持つ病原体認識分子が細胞質に侵入した菌を認識し、その認識依存的にオートファジーが誘導されて菌の増殖が抑制されることが明らかとなっているが、この細胞内寄生細菌の侵入に対するオートファジー誘導の分子機構は多くが不明である。本研究では、細胞内寄生細菌であるリステリア菌に対する抵抗反応として機能するオートファジーがPGRP-LEにより誘導される機構の解明を目的としている。本年度は、認識分子依存的なオートファジー誘導の分子機構を解明するために、PGRP-LEにおける自然免疫活性化に必要なアミノ酸領域を詳細に検討した。内在性のPGRP-LEを発現していない細胞であるショウジョウバエ胚由来培養細胞S2細胞を用い、様々な欠損を有するPGRP-LEを発現させ、細胞内寄生細菌であるリステリア菌の感染を行うことにより、自然免疫応答であるオートファジー誘導と抗菌ペプチド産生誘導の各々に必要なアミノ酸領域の検討を行った。その結果、オートファジー誘導に必要であるが、抗菌ペプチド産生誘導には不必要な領域(78~93番目のアミノ酸)を同定し、この配列内に新たにRHIM like motifが存在するこどを示した。この結果は、今回存在が示唆されたN末端側のRHIM like相同モチーフは、抗菌ペプチド発現誘導に必要とされる既知のRHIMlikeモチーフとは異なる機能を持ち,選択的オートファジーの際に下流の因子と相互作用することにより、現在未向定である自然免疫経路を活性化することを示唆しており、病原体認識分子による選択的オートファジー誘導の分子機構解明に新たな情報を与えるものである。
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