2010 Fiscal Year Annual Research Report
種々のDNA動態における早老症原因遺伝子産物RecQL4の機能とその連携の解析
Project/Area Number |
21590059
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
多田 周右 帝京平成大学, 薬学部, 教授 (00216970)
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Keywords | Rothmund-Thomson症候群 / RecQL4 / 遺伝子構造安定性維持 / DNA修復 / DNA複製 |
Research Abstract |
本研究では、DNA複製をはじめとした細胞周期の諸段階と遺伝子構造安定性維持機構の分子的な連携に焦点を絞り、その中でのRothmund-Thomson症候群原因遺伝子産物RecQL4の機能について、分子レベルより解明することを目標とする。昨年度、GFP融合RecQL4を発現させた細胞株を作製し、その細胞核にレーザーを照射して照射部位へのRecQL4の集積を観察した。レーザー照射により様々な種類のDNA損傷が発生すると考えられるが、BrdUを添加した場合にとくにDNA二本鎖切断の頻度が増すことが知られている。そこで、この条件で同様の実験をおこなったところ、GFP-RecQL4の損傷部位への集積が顕著に増加した。したがって、RecQL4はDNA二本鎖切断修復において機能することが強く示唆された。このようなRecQL4のDNA損傷部位への集積は、損傷発生後2-3分で強くなるものの、すぐに解離が始まり、DNA損傷の発生から10分後にはほとんど見られなくなったことより、RecQL4のDNA二本鎖切断修復における機能は極めて一過的なものであると考えられた。また、このようなRecQL4のDNA損傷部位への集積は非相同末端結合修復の初期段階から主要な役割を果たすKu80や相同組み換え修復に機能するNBS1、BRCA1などの欠損細胞を用いて同様の検討をおこなったが、RecQL4の損傷部位への集積に影響を与えなかった。一方、ParP-1の欠損やParP-1の阻害剤であるDIQを処理したときにRecQL4の損傷部位への集積が顕著に抑制された。以上より、RecQL4がDNA二本鎖切断に応じたポリADPリボシル化に呼応して損傷部位に集積し一過的な機能を果たすことが推測された。
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Research Products
(4 results)