2011 Fiscal Year Annual Research Report
種々のDNA動態における早老症原因遺伝子産物RecQL4の機能とその連携の解析
Project/Area Number |
21590059
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
多田 周右 帝京平成大学, 薬学部, 教授 (00216970)
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Keywords | Rothmund-Thomson症候群 / RecQL4 / 遺伝子構造安定性維持 / DNA修復 / DNA複製 |
Research Abstract |
ロスモンド・トムソン症候群(RTS)原因遺伝子産物(RecQL4)のDNA複製・修復に対する役割についての知見を得るため、細胞生物学的解析の手段としてRecQL4を破壊したニワトリDT40細胞株を樹立した。この細胞株の樹立に際し、遺伝子組換えにより細胞内でヒトRecQL4タンパク質を発現するよう操作したが、このヒトRecQL4の発現を停止すると同細胞株は致死となった。この致死性は、ヒトRecQL4のN末端側496アミノ酸のみで抑えることが可能であった。RecQL4のN末端側領域は出芽酵母のDNA複製に必須なタンパク質であるSld2に相同性を有することが知られており、同領域がDNA複製に必須な役割を果たすことが推測されている。本結果は、RecQL4のN末端側領域が高等真核細胞においても生存に必須な作用を持つことをはじめて提示したものである。一方、同細胞株の生育をヒトRecQL4の全長で維持した場合に比べて、N末端側のみで生育を維持した細胞ではDNA二本鎖切断やDNA架橋剤に対する感受性が高まることが示された。このことから、RecQL4の中央領域およびC末端側領域が、DNA傷害に対する応答・修復反応に寄与を果たすことが示唆された。RTSではRecQL4の中央領域以降に変異がある場合が多いことから、RTSの原因となるRecQL4の変異ではN末端側の細胞生存に必須な機能が影響を受けることなく中央部以降の機能に欠損を持つと考えられる。すなわち、ヒトRecQL4のN末端側のみで生育を維持したRecQL4欠損細胞株は、RTS患者細胞を模した樹立細胞株として、他の遺伝的背景を同一とする細胞株との比較による詳細なRecQL4の細胞生物学的解析を可能にするものであると期待できる。
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Research Products
(4 results)