2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590061
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
坂野 喜子 Gifu University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (50116852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 陽介 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (60447787)
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Keywords | スフィンゴ脂質 / 抗癌剤耐性 / 大腸癌 / 幹細胞 / アポトーシス |
Research Abstract |
癌のケモテラピーにおける問題点は、抗癌剤による副作用であり、長期抗癌剤により抵抗性(耐性)をもつことである。抗癌剤耐性の機構については、p53をはじめ多くの因子が関与することが知られているが、最近新たに癌幹細胞の存在が明らかになり、これが抗癌剤耐性としてケモテラピーの標的にすることが重要であると思われる。しかし、癌幹細胞の生存や分化に関しては不明である。研究代表らは最近、スフィンゴ脂質代謝が各種抗癌剤抵抗性の制御に深く関与していることを明らかにした。そこで今年度は、この先行研究を発展させ、癌幹細胞における抗癌剤耐性とスフィンゴ脂質由来生理活性脂質の産生との関連性に焦点を当てて研究を行った。 各種大腸癌細胞を用いて、抗癌剤に対する細胞死に対して感受性の高い細胞と抵抗性細胞(耐性)を選別し、スフィンゴ脂質代謝の動態を調べ、関連性を検討した。抗癌剤オキサリプラチンおよびイリノテカンに対する代表的な感受性および耐性細胞において、セラミド産生の変化をLC-MS/MSを用いて分離定量し、最も変化量の大きいセラミドのアシル鎖を同定し、セラミド産生の代謝経路を明らかにした。抗癌剤抵抗性細胞において、スフィンゴシンキナーゼ(SPHK)の高活性を示し、SPHKの阻害剤を抗癌剤と同時処理することにより、感受性を示したことから、SPHKが抗癌剤耐性を制御していることを明らかにした。 抗癌剤感受性細胞に長期抗癌剤を処理することにより抵抗性細胞株を分離し、癌幹細胞の指標やスフィンゴシンキナーゼ(SPHK)の発現および下流シグナル系の影響を検討し、SPHKの薬剤耐性における関与を検討した。抗癌剤抵抗性株は、SPHK活性が上昇しており、抵抗性との関連性を示唆した。癌幹細胞マーカCD133の発現との関連性については今後検討する。
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