2010 Fiscal Year Annual Research Report
活性化リンパ球における糖鎖発現情報の認識に関わる分子とその機能
Project/Area Number |
21590063
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹松 弘 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (80324680)
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Keywords | シアル酸 / T細胞 / 胚中心 / 糖鎖 / 認識機構 |
Research Abstract |
脊椎動物の免疫系において、抗体応答を伴う獲得性免疫の発現に、リンパ球の活性化は非常に重要な位置を占める。最終的に抗体産生細胞へと分化することで獲得性免疫を担うBリンパ球の活性化は、リンパ節、脾臓などの二次リンパ器官内の胚中心において起こることが知られている。申請研究では、胚中心において、活性化B細胞がシアル酸の分子種をN-グリコリルノイラミン酸からN-アセチルノイラミン酸へと変換することで、その活性化を制御している、という申請者らのこれまでの研究成果を基に着想された。すなわち、リンパ球においてシアル酸分子種の変化はB細胞におけるシアル酸認識の違いを生み出すことが考えられるのであるが、その分子機構については不明である。これを明らかにする目的で、シアル酸分子種を、この変換に関わるCMP-N-アセチルノイラミン酸水酸化酵素(Cmah)の発現をマウス個体レベルで変化させた遺伝子欠損マウスおよびトランスジェニックマウスを用いて人為的に操作し、これがもたらす細胞内シグナル伝達における影響から、その分子機構を明らかにしていこうという試みである。B細胞においてはN-グリコリルノイラミン酸の受容体として、CD22分子の活性が知られている。一方で、同様なシアル酸分子種の変化をするが、CD22を発現しないT細胞活性化の系を用いることで、CD22を介さない、つまり、これまで明らかとされていないシアル酸分子種認識機構の生理活性を検証することが可能になる。T細胞を様々な条件で活性化したところ、Cmahノックアウトマウス由来のT細胞において、コンカナバリンAによる活性化条件で、細胞増殖、細胞外カルシウムイオンの流入、活性化マーカーの発現などのレベルでの亢進が見られ、これにより、CD22を介しないシアル酸分子種認識の存在が明らかとなった。
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