2011 Fiscal Year Annual Research Report
逆位相の膜陥入を伴う生命現象のユビキチン化による分子制御機構解明
Project/Area Number |
21590064
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 英明 九州大学, 薬学研究院, 助教 (80291524)
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Keywords | リソソーム / ユビキチン / タンパク質分解 / 小胞輸送 / エンドソーム / トランスフェリン受容体 / 鉄代謝 / 細胞質分裂 |
Research Abstract |
(1)鉄の主要な受容体であるTfR (Transferrin Receptor)は細胞内の鉄含量に依存して転写レベルでの発現制御を受けていることが知られているが、蛋白質レベルでの分解機構についてはほとんど報告がない。TfRが鉄イオン濃度依存的にユビキチン化を受け、徐々にリソソームでの分解を受けているという新しいTfRの代謝・発現量制御機構が存在する事を報告した(Genes to Cells, 2011)。さらに膜結合型ユビキチンリガーゼであるMARCH (Membrane Associated Ring-CH)ファミリー蛋白質のひとつがTfRを基質として認識し、そのユビキチン化によるリソソームでの分解に関与することなどを明らかにした(第84回日本生化学会大会、日本薬学会第132年会・シンポジウム、投稿論文準備中)。 (2)TfRが細胞周期M期前半においてユビキチン化を受け、細胞質分裂時には徐々に脱ユビキチン化されてくる。このTfRユビキチン化は分裂溝へエンドソーム由来の小胞が局在することと密接に関連している。従って、TfRのユビキチン化には少なくとも2つの異なる生理的役割があることが示唆された。さらに別の鉄輸送体であるDMT1 (Divalent Metal Transporter-1)が、やはり細胞周期に依存したユビキチン化を受けることも見出した(投稿論文準備中)。 (3)Trans-Golgi network膜タンパク質TGN46の細胞内輸送および局在化の分子制御機構について解析を行ない、新規のタンパク質選別輸送の分子機構が存在することを明らかにした(第84回日本生化学会大会、投稿論文準備中)。 (4)HIV-1などレトロウイルスの細胞内増殖・出芽の宿主抑制因子であるBST-2 (Tetherin)の細胞内ロジスティクスに関する総説を報告した(Current HIV Research, accepted)。
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