2010 Fiscal Year Annual Research Report
異性化タンパク質修復酵素PIMTの活性調節機構の解析
Project/Area Number |
21590069
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
古地 壯光 北里大学, 薬学部, 准教授 (00302167)
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Keywords | アスパラギン酸 / アスパラギン / PIMT / 異性化 / ラセミ化 / タンパク質 / 修復 / 発現調節 |
Research Abstract |
タンパク質中のL-アスパラギン残基(L-Asn)及びL-アスパラギン酸残基(L-Asn)は、タンパク質の老化の過程で、生理的条件下で自発的に異性化またはラセミ化し、D-アスパラギン酸残基(D-Asp)やイソアスパラギン酸残基(D,L-isoAsp)へと変換されることが知られている。一方、生体内にはD-AspやL-isoAspをL-Aspへと戻す反応を促進する酵素であるProtein L-isoaspartyl(D-aspartyl)methyltransferase(PIMT)が存在する。しかし、その生理学的機能は未だ不明な点が多い。本研究では、PIMTの生理学的機能を明らかにすることを目的とし、そのプロモーター領域の解析を行った。まず、PIMTのプロモーター領域約1 kbpおよびその部分欠損体をホタルルシフェラーゼレポーターベクターpGL3-Basicのマルチクローニングサイトに組み込み、各種レポータープラスミドを構築し、そのプロモーター活性をルシフェラーゼアッセイにより測定することで、PIMTプロモーター活性に必須な領域(27bp)を同定した。そこでLC-MS/MSを用いて、この27bpを含むプロモーター領域に結合するタンパク質を解析し、Nuclear respiratory factor 1(NRF1)の同定に成功した。さらに、NRF1抗体を用いたスーパーシフトアッセイにより、in vitroにおいてNRF1がPIMTプロモーターへ結合すること、chromatin immunoprecipitation(ChIP)assayにより、細胞内においてNRF1がPIMTプロモーター領域へ結合することを確認した。これらの結果から、NRF1はPIMTの転写に関わる因子であると考えられた。そこで、NRF1のshRNA発現ベクター並びに、NRF1からその転写活性化ドメインを取り除いたdominant negative NRF1(DN NRF1)の発現ベクターを構築して、NRF1によるレポータージーン発現への影響について解析を行った。その結果、NRF1ノックダウンやDN NRF1の発現によって、PIMTプロモーター活性が減少したことから、NRF1はPIMTのプロモーター活性に重要な因子であることがさらに確認された。今回、酸化ストレス応答に関与していると考えられているNRF1が転写因子の候補として見いだされた本研究結果は、PIMTの発現調節を考える上で大変興味深い。
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