2010 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル伝達分子の異常の解析とこれを標的とする薬物の開発
Project/Area Number |
21590072
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
笠原 忠 慶應義塾大学, 薬学部, 教授 (60049096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多胡 めぐみ 慶應義塾大学, 薬学部, 講師 (30445192)
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Keywords | JAK2点変異V617F / JAK2シグナル伝達 / STAT5の恒常的な活性化 / 抗アポトーシス因子 / GSK-3βのリン酸化 / NF-κB阻害作用 / リコカルコンA |
Research Abstract |
本年度は、サイトカインシグナル伝達系として、真性赤血球増加症で認められるJAK2点変異V617Fが異常増殖を誘導する機構の解析を行った。JAK2V617F変異体は、in vitroで異常な増殖を引き起こし、ヌードマウスにおいて著明な腫瘍形成を誘導した。JAK2変異体のシグナル伝達経路の解析を行ったところ、JAK2V617F変異体が転写因子STAT5の恒常的な活性化を誘導することを見出した(J Biol Chem 2010)。さらに、JAK2変異体の下流においてセリン・スレオニンキナーゼAktがCREBやGSK-3βのリン酸化を誘導することにより、抗アポトーシス因子であるBcl-XLやMcl-1の発現を上昇させ、抗アポトーシス作用を示すことを明らかにした(Cell Signa,2011)。一方、甘草由来のリコカルコンAはNF-κB活性化抑制するが、NF-κB阻害作用におけるリコカルコンAの構造活性相関の検討を行った(Int Immunopharmacol.2010)。さらに、3種類のフラボノイド化合物Apigenin,Luteolin,FisetinがNF-κB活性化やカラゲニン浮腫を顕著に抑制することを見出し、その作用機構を明らかにした(Int Immunopharmacol.2011)。 【本研究の意義と重要性】JAK2シグナルの異常は真性赤血球増加症や急性白血病の原因となることから、JAK2キナーゼ活性に対する阻害剤を探索することは創薬につながる重要なテーマである。我々の遺伝子変異導入を利用した細胞内シグナル分子の解析は、細胞の異常増殖、接着、転移という細胞の基本的な分子の役割解析と同定に重要な方法を与えるものである。
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Research Products
(13 results)