2011 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンE2の産生系と分解系のクロストーク機構の解析
Project/Area Number |
21590074
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
中谷 良人 昭和大学, 薬学部, 准教授 (80266163)
|
Keywords | PGE2 / cPGES / PGT |
Research Abstract |
本年度は、代表的な脂質性生理活性物質であるプロスタグランジンE2(PGE2)の生体内での産生と分解を総合的に理解するために、細胞内へのPGE2の取り込みに関わるプロスタグランジントランスポーター(PGT)の発現調節を検討した。まず、細胞質型PGE合成酵素(cPGES)欠損マウス肺におけるPGTのmRNA発現をマイクロアレイ法で調べた結果、野生型マウスの肺での発現量に比べて約1/2に低下していた。また、cPGES欠損初代培養線維芽細胞を用いたRT-PCR解析でも同様のPGTの発現低下が観察され、培養上清中にPGE2の蓄積が見られた。さらに、cPGES siRNAを導入したラット線維芽細胞株3Y1におけるPGTの遺伝子発現をRT-PCR法で検討した結果、cPGESの発現低下の程度に相関してPGT mRNAの発現低下が観察された。また、本細胞株をインターロイキン1betaで刺激すると、野生型細胞と比較して培養上清中のPGE2濃度上昇の亢進が観察された。すなわち、cPGESがPGTの発現に促進的に働き、細胞外のPGE2の取り込みに二次的に関わることが考えられた。次に、3Y1細胞に発現しているPGE2を輸送することが報告されているトランスポーターの遺伝子発現をRT-PCR法で調べた結果、PGT(Slco2a1)、Slco2b1及びAbcc4の発現が観察された。Slco3a1,Slco1a3,Slc22a6,Slc22a7,Slc22a8,Slc22a1,Slc22a2の発現は検出されなかった。PGTとSlco2b1は細胞外からのPGE2の取り込みに関わると報告されているのに対して、Abcc4は細胞内からのPGE2の放出に寄与することが知られている。従って、3Y1細胞ではPGTとSlco2b1がPGE2取り込みに、Abcc4がPGE2放出に関わることが示唆された。
|
Research Products
(3 results)