2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規内在性カンナビノイド・リゾホスファチジルイノシトールの産生及び消去機構の解明
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21590075
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
山下 純 帝京大学, 薬学部, 教授 (80230415)
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Keywords | リゾリン脂質 / ホスホリパーゼA / ホスファチジルイノシトール / カンナビノイド / リゾホスファチジルイノシトール / マリファナ |
Research Abstract |
我々のグループはリゾリン脂質の一つであるリゾホスファチジルイノシトール(LPI)が、カンナビノイド受容体の一つとして報告されたオーファンGPCRのGPR55にアゴニストとして作用することを発見した。LPIの構造活性相関を検討した結果、グリセロールのsn-2位にアラキドン酸を持つLPI(2-arachinonyl-sn-glycero-3-phosphoinositol)が最も活性が強いことを見いだした。ホスファチジルイノシトール(PI)の構成脂肪酸は特徴的で、sn-1位にステアリン酸、sn-2位にアラキドン酸を持つものが多く存在する。sn-2位にアラキドン酸を持つLPIは、PIがホスホリパーゼA1(PLA1)の作用を受けたときに生じることが考えられる。しかし、PLA1に関する研究は非常に限られており、また、PIを基質とするPLA1はほとんど知られていない。細胞内型PLA1としては、DDHD domain containing 1(DDHD1)などが、NCBIデータベースに登録されている。DDHD1は、ホスファチジン酸(PA>-preferential PLA1(PA-PLA1)として同定された酵素であるが、その真の生理的な意義は明らかになっていない。本研究は、LPIの産生に関与するPLA1の解明の手掛かりを得るべく、DDHD1の性状・機能を再評価した。 FLAG-DDHD1発現プラスミドをHEK293細胞に導入し安定発現細胞(FLAG-DDHD1/HEK293)を樹立した。この細胞をイオノフォアで刺激すると、LPIの産生が観察された。DDHD1を発現していない細胞のLPIの産生は低く、DDHD1が刺激に応答したLPIの産生に関与することが示された。培地にn-ブタノールを添加すると、LPIの産生が阻害されたことより、DDHD1の活性化にホスホリパーゼD(PLD)が関与することが示唆された。実際、PLD1またはPLD2の遺伝子を導入すると、LPIの産生増加が観察された。一方、PLD1のドミナントネガティブ変異体を発現させると、LPIの産生が阻害されたことより、DDHD1の活性化にPLD1によるPAの産生が関与することが示された。
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