2009 Fiscal Year Annual Research Report
新しい生理活性脂質リゾホスファチジルイノシトールとその受容体の生理的役割の解明
Project/Area Number |
21590076
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
杉浦 隆之 Teikyo University, 薬学部, 教授 (40130009)
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Keywords | リゾリン脂質 / イノシトールリン脂質 / リゾホスファチジルイノシトール / GPR55 / カンナビノイド / マリファナ / Gタンパク質共役型受容体 |
Research Abstract |
リゾホスファチジルイノシトール(LPI)は、我々のグループが発見した、Class AのGタンパク質共役型受容体であるGPR55の内在性リガンドである。我々はこれまでの研究で、LPIがGPR55を発現させたHEK293細胞に作用して、ERK(p42/44MAPキナーゼ)のリン酸化や細胞内カルシウム応答を引き起こすこと、種々のLPI分子種のうち、グリセロール骨格の2位にアラキドン酸が結合した2-アラキドノイルLPIが最も強い活性を示すことなどを報告してきた。ところで、GPR55はG12/13と共役していることが報告されている。そこで、G12/13の下流にあるRhoAに及ぼす影響を調べたところ、LPIは、GPR55を介してRhoAを強く活性化することが分かった。次に、RhoAを介して引き起こされる作用について調べた。その結果、LPIは、GPR55及びRhoAを介して細胞のrounding及びストレスファイバーの形成を引き起こすことが分かった。また、LPIはGPR55を発現させたHEK293細胞のp38 MAPキナーゼやATF-2のリン酸化を起こすことも明らかとなった。一方、GPR55の発現をRT-PCRにより調べたところ、GPR55は脳の他、脾臓や胸腺といった免疫系の組織に比較的多量に発現していることが確認された。LPIはこれらの組織でGPR55、G12/13及びRhoAを介して何らかの重要な役割を担っている可能性が高い。
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