2009 Fiscal Year Annual Research Report
ネクローシス細胞が誘発する炎症応答の発症および終息におけるDAMPsの役割
Project/Area Number |
21590078
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
永田 喜三郎 Toho University, 理学部, 准教授 (10291155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 芳郎 東邦大学, 理学部, 教授 (10134610)
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Keywords | necrosis / neutrophil / inflammation / chemokine / DAMPs |
Research Abstract |
生体内で産み出されるアポトーシス細胞は、貪食細胞によって炎症応答を伴うことなく、速やかに除去される。一方、ネクローシス細胞が生体内に産み出されると、好中球の浸潤を伴う強い炎症応答が惹起されると考えられている。我々は、生体内で生じたアポトーシス細胞が貪食除去されずに放置されると、二次的ネクローシスに陥り、多量な好中球の浸潤を伴う強い炎症応答を惹起することを明らかにした。最近、細胞内に存在するDAMPs(damage-associated molecular patterns)と呼ばれる分子群がネクローシスすることにより細胞外に放出されると、これらの分子が自然免疫応答に何らかの影響を及ぼすことが着目されてきている。今年度は、炎症のときに浸潤してくる好中球内に存在するS100タンパク質に着目し、ネクローシス細胞が誘導する炎症応答におけるS100タンパク質の役割を調べた。S100タンパク質は、好中球走化性活性を持つことが報告されているので、好中球浸潤への関与が推察されたが、ネクローシス細胞を腹腔内に投与した後、3時間で好中球が浸潤してくるのに対し、S100タンパク質は16時間後をピークとして腹腔内に検出された。この結果は、ネクローシス細胞が誘発する炎症において好中球の浸潤にS100タンパク質は関与していないことが明らかとなった。また、S100タンパク質の検出される時間帯が炎症の終息と一致することから、S100タンパク質が炎症の終息に関与していることが考えられた。
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