2010 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウィルスNS4B蛋白質の膜変形作用に関わる宿主因子の探索と機能解析
Project/Area Number |
21590085
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
齊藤 恭子 国立感染症研究所, 細胞化学部, 主任研究官 (70235034)
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Keywords | ウィルス / 感染症 / 生体膜 / 宿主因子 |
Research Abstract |
C型肝炎ウィルス(HCV)は、感染細胞内にmembranous webと呼ばれる特徴的な膜構造を誘導し、これを足場としてゲノム複製複合体を形成することが示唆されている。membranous webはHCV非構造(NS)蛋白質の一つ、NS4Bにより誘導される。本研究は、NS4Bが相互作用する宿主蛋白質、脂質を探索し、それらの膜構造形成、HCV複製における機能解析を通じて、複製複合体の形成機構の手がかりを得ることを目標としている。 HAタグ標識NS4B発現細胞を用いてin vivoクロスリンキングを行い、そのライセートを抗HA抗体で免疫沈降する方法によりNS4Bと相互作用する蛋白質の探索を行った。その結果、分子量約80K、70K、60K、55Kのコンプレックスを見出した。NS4Bを発現していない細胞を同様にクロスリンク後免疫沈降しても、これらのコンプレックスは検出されなかった。また、クロスリンクを行わないNS4B発現細胞のライセートを同様に免疫沈降したときには、55Kのコンプレックス以外は見られなかった。コンプレックスのうち、NS4B(27KDa)のホモオリゴマーに相当しない分子量であるのは60Kのコンプレックスであり、これにはNS4B結合蛋白質が含まれている可能性が考えられた。60Kコンプレックスを精製したが、以後の解析には量的に不足していた。今後は精製のスケールアップを図り、NS4Bに結合している蛋白質の同定とHCV感染における機能の解析を目指す。 membranous web形成における脂質の関与を探る目的で、NS4B発現細胞にコレステロールの生合成を阻害するスクワレン合成酵素阻害剤を添加して、NS4Bの局在の変化を調べたところ、大きな変化は観察されなかった。今後、他の脂質についても阻害剤等を用いて調べていく。
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