2011 Fiscal Year Annual Research Report
FGF受容体の変異による骨・軟骨形成不全疾患発症メカニズムの分子レベルでの解析
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21590088
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
浅田 眞弘 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (30344120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 亨 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主幹研究員 (80356518)
鈴木 理 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (70192622)
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Keywords | 繊維芽細胞増殖因子 / Apert症候群 / 先天性奇形 / グリコサミノグリカン |
Research Abstract |
繊維芽細胞増殖因子(FGF)は受容体(FGFR)と結合することで様々な生理活性を発揮する。この際、ヘパラン硫酸をはじめとするグリコサミノグリカン(GAG)の共存が必須であると考えられている。近年、先天性奇形であるApert症候群に見られるFGFR2の点突然変異によって、FGFRがヘパラン硫酸非依存的にリガンドと結合する例が報告され、FGFRの突然変異による受容体活性の亢進をヘパラン硫酸への依存性の消失で説明できる可能性が考えられた。本研究では、他の類似の疾患におけるFGFRの変異が三者(リガンド、受容体、GAG)複合体の形成や細胞内でのシグナル伝達に及ぼす影響を解析し、FGFRの変異がもたらす疾患の発症メカニズムを分子レベルで解明することを目的とした。 これまでに、複数の変異型の受容体遺伝子を構築し、これらを組換え体可溶性蛋白質として調製した。これらを用いて、in vitroのリガンド結合試験を行った結果、野生型FGFR2はヘパリン存在下でのみFGF1と結合するのに対し、Apert症候群の原因変異を導入したFGFR2はヘパリン非存在下でもFGF1と結合した。一方、Jackson-Weiss症候群やPfeiffer症候群の原因変異を持つFGFR2は、野生型FGFR2と同様、ヘパリン存在下でのみFGF1と結合することが判明した。 本年度は、Apert症候群の原因変異を導入したFGFR2を発現する細胞株を構築し、その細胞増殖に与えるFGFとHPの効果を検証した。その結果、野生型FGFR2c導入細胞の増殖にはFGFとHPの両者が必要であったが、変異型FGFR2c(S252W、P253R)導入細胞は、FGF1のみで細胞増殖が惹起されることを観察した。 今後は、細胞内シグナルに注目して、変異型FGFR2cの作用メカニズムを解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、複数の変異型の受容体遺伝子を構築し、in vitroでの結合試験、およびin vivoでの細胞増殖試験を実施し、計画通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたって、これまでの結果を踏まえ、細胞内シグナルに注目して、変異型FGFR2cの作用メカニズムを解析する計画である。
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