2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590095
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
川崎 博己 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60125151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 佳久 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (40423339)
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Keywords | 神経成長因子 / 血管周囲神経再分布 / 交感神経 / CGRP含有神経 / Angiiotensin II受容体 |
Research Abstract |
【目的】研究代表者は、NGFの神再分布促進作用にはAngiotensin II Type 2 (AT2)受容体の発現が重要であることを明らかにしている。そこで、神経生長・栄養因子(NGF、HGF)の作用機序におけるAT2受容体の役割をin vivo系血管神経除神経法で、AT1またはAT2受容体遮断薬を用い、血管周囲神経分布密度を免疫組織化学的に解析する。さらに、in vitro系実験では、脊髄後根節および交感神経節の初代培養細胞を用いて、神経成長因子(NGF, HGF)による軸策伸張作用とこれに及ぼす各種遮断薬の影響を神経薬理学的に解析する。同時に、AT1, AT2受容体の遺伝子解析、受容体蛋白発現変化を分子薬理学的に解析して作用機序を明らかにする。これらの研究から従来提唱されているNGF、HGFなどの神経生長因子の作用機序とは異なった機序を明らかし、さらに、新規化合物のシード探索を目的とする。 【平成21年度の研究および研究成果】 平成21年度の実験研究として、NGFによる血管周囲神経再分の作用機序を詳細に検討した。研究代表者はNGFの神経再分布促進作用にはAT2受容体の発現が重要であることを明らかにしているので、AT2受容体の役割について詳細に検討した。そこで、研究代表者が開発したin vivo系実験的神経リモデリング法を用いて解析した。ラットを麻酔下に開腹し、腹部大動脈から分岐した上腸間膜動脈付近にPhenol溶液を塗布して閉腹し、7日間の回復期間を設ける。この手術時に、神経成長・栄養因子(NGF)単独、神経成長とAT2受容体遮断薬(PD化合物)またはAngiotensin II Type-1(AT1)受容体遮断薬(losartan)の2薬物を腹腔内に植え込んだ浸透圧ミニポンプを介して同時連続投与し、7日目に上腸間膜動脈から遠位の腸間膜動脈血管を摘出し、交感神経分布密度をTyrosine hydroxylase(TH)抗体またはNeuropeptide Y (NPY)抗体、CGRP神経分布密度をCGRP抗体を用いて免疫組織化学的に検討した。さらに、NGF、AT1受容体遮断薬、AT2受容体遮断薬の3薬物を同時投与時の血管周囲神経分布密度の変化についても検討した。その結果、Pheno1局所塗布によって遠位小動脈の血管周囲神経の分布密度が40-80%減少した。ミニポンプで投与したNGFは減少した血管周囲神経(NPYおよびCGRP神経)分布密度を増加させ、これら血管周囲神経が再分布することが確認された。NGFによるNPY神経分布密度増加作用は、AT1遮断薬によって抑制されたが、AT2受容体遮断薬は影響レなかった。一方、NGFによるCGRP神経分布増大作用はAT2受容体遮断薬によって抑制されたが、AT1受容体遮断薬は影響しなかった。この研究結果により、神経成長因子(NGF)による交感神経再分布作用にはAT1受容体が関与し、NGFによるCGRP神経再分布作用にはAT2受容体が重要な役割を果たしていることが示唆される。
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