2009 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスによる温度感受性受容体発現知覚神経の反応性増大とオピオイド天然物の作用
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21590100
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Research Institution | Josai International University |
Principal Investigator |
堀江 俊治 Josai International University, 薬学部, 教授 (50209285)
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Keywords | TRPV1 / 消化管 / 炎症 / カプサイシン / 免疫組織化学 / オピオイド受容体 / 神経ペプチド / 知覚過敏 |
Research Abstract |
機能性胃腸障害では、ストレスによって消化管知覚神経過敏反応が引き起こされる。ストレスによって微小な炎症が惹起されると、熱刺激受容体TRPV1の発現量あるいはリン酸化を介するチャネル活性が増大するのではないかという作業仮説を立て、これを検証するために研究を進めている。本年度は、正常動物のTRPV1発現神経における含有神経伝達物質を解明し、さらに炎症惹起病態動物群における下部消化管TRPV1発現神経の変化を検討した。その研究結果の要点を以下の3点にまとめた 1. 正常マウスの胃、結腸、直腸凍結切片において、免疫組織化学的手法にてTRPV1神経に含有される神経伝達物質の検討を行った。その結果、筋間神経叢に密に観察されたTRPV1神経線維のほとんどには、知覚神経系神経ペプチドであるカルシトニン遺伝子関連ペプチド、サブスタンスP、ニューロキニンAが含有されていること、一部には一酸化窒素合成酵素が含有されていることが明らかとなった。これらのTRPV1発現神経含有神経伝達物質が消化管運動性、知覚受容に関与しているものと推察された。 2. マウスにデキストラン硫酸ナトリウムを既報のように与えることにより、炎症性腸疾患モデルを作成した。この病態動物群の結腸においてTRPV1の免疫染色を行うと、全層においてTRPV1神経線維の数のあきらかな増加が観察された。さらに、病態動物群では下部消化管の知覚過敏が観察されており、TRPV1神経線維の数の増加が炎症時における知覚過敏に関連しているものと考えられる。 3. 正常マウス群の結腸を、抗TRPA1抗体、抗リン酸化TRPV1抗体で免疫染色したが、ほとんど染色されなかった。染色条件の問題もあるので、さらに検討を行う予定である。
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Research Products
(11 results)