2010 Fiscal Year Annual Research Report
Sykキナーゼ阻害による神経変性疾患(アルツハイマー病等)の予防と治療
Project/Area Number |
21590106
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
大室 弘美 武蔵野大学, 薬学研究所, 教授 (00124470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 泰造 姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (70346253)
氷見 敏行 武蔵野大学, 薬学研究所, 教授 (30222243)
吉田 ルシア幸子 武蔵野大学, 薬学研究所, 助教 (20240327)
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Keywords | 神経生物学 / 炎症 / 酸化ストレス / 活性酸素 / アルツハイマー病 / パーキンソン病 |
Research Abstract |
抗炎症作用を有する薬物によるアルツハイマー病等の神経変性性疾患の予防と治療の可能性を明らかにするため、抗炎症作用及び抗酸化作用を有するシコニン(生薬シコンの有効成分。チロシンリン酸化酵素Syk阻害作用を有する。)を用い、以下の検討を行った。 1)2ヶ月齢(Young。発症前)及び10ヶ月齢(Aged。発症後)のタウ変異トランスジェニックマウス(アルツハイマー病及びパーキンソン病モデル。SJLBマウス。)及びコントロール(野生型)マウスに、シコニン(0、140μM、1400μM。10mL/kg。オリーブオイルに溶解)を週2回経口投与した。投与開始後1ヶ月及び2ヶ月目に、オープンフィールド試験によりアルツハイマー病の予防及び治療効果を、並びにフットプリント試験によりパーキンソン病の予防及び治療効果を検討し、現在、その詳細について解析中である。また、試験終了後のマウスの脳をホルマリン固定し、神経の炎症状態及び神経変性へのシコニンの影響を解析中である。 2)LPS投与アルツハイマー症モデル動物を用いた検討は、LPSの投与方法及びLPSの種類により発症の程度が大きく異なることから、再現性のあるモデル動物の作成条件を検討中である。 3)シコニンの抗炎症作用及び抗酸化作用についてさらに検討し、Syk、ERK、p38(MAPK)、NOS(一酸化窒素合成酵素)及びAキナーゼ等の酵素活性の阻害に加え、本年度はシコニンが活性酸素の強力な直接消去作用を有すること等を明らかにした。この結果は、シコニンが優れた抗炎症作用と抗酸化作用を有し、酸化ストレスと炎症に起因する疾患の予防及び治療薬の有力な候補物質であることを示すものである。さらに、シコニンが抗炎症及び創傷治癒作用に関連する複数のタンパク質の遺伝子発現を変化させることをDNAチップによる解析で明らかにし、この遺伝子発現の変化に関与する因子等について検討中である。
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