2009 Fiscal Year Annual Research Report
無刺激及びストレス負荷状態でのP2X7受容体を介した神経-アストロサイト機能連関
Project/Area Number |
21590107
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
長澤 一樹 Kyoto Pharmaceutical University, 薬学部, 教授 (30228001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 健太朗 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (20533805)
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Keywords | 脳・神経 / 酸化ストレス / 受容体 / ATP |
Research Abstract |
脳内恒常性維持におけるP2X7受容体の役割を明確にするために、アストロサイト及び神経細胞におけるその機能的発現プロファイルついて検討した。 SJL系マウス由来培養アストロサイトにおいてP2X7受容体は恒常的に活性化状態にあるが、それに対するATPなどのリガンド負荷は、細胞死を誘発するもののP2X7受容体活性化の程度は低下した。一方、ddY系マウスから得たアストロサイトにおいて、P2X7受容体は無刺激状態では活性化状態になく、外因的ATP負荷はアストロサイト細胞死を引き起こすが、P2X7受容体を活性化しなかった。このような無刺激状態におけるP2X7受容体活性化状態の系統差を生じる要因を調べるために、その発現量を調べたところ、SJL及びddYマウス由来アストロサイト間で、mRNA及びタンパク質レベルのいずれにおいても差はなかった。 一方、P2X7受容体の機能的発現が明らかとなっていない神経細胞についても同様に検討した。その結果、培養神経細胞において、P2X7受容体の発現が認められ、それは無刺激状態では活性化状態にないが、リガンド刺激によりチャネル及びポア機能を発現すること、すなわち機能的P2X7受容体が神経細胞にも発現することが確認された。さらに、その活性化によりポア開口に続いてNADPH oxidase活性化を介したO_2^-の産生、PARP活性化が惹起されたが、このカスケードは細胞死に関係せず、チャネル機能の活性化によるミトコンドリア機能異常に続くcaspase及びAIF経路が活性化され、最終的にアポトーシスを誘発することが分かった。 以上の結果から、アストロサイトと神経細胞のいずれにもP2X7受容体が発現するものの、その機能性は細胞種、そして系統により異なることを示された。これら成績は、脳内恒常性維持におけるP2X7受容体の役割を理解する上で極めて重要であると考えられる。
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Research Products
(16 results)