2010 Fiscal Year Annual Research Report
無刺激及びストレス負荷状態でのP2X7受容体を介した神経-アストロサイト機能連関
Project/Area Number |
21590107
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
長澤 一樹 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30228001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 健太朗 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (20533805)
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Keywords | 脳・神経 / ストレス / アストロサイト / ATP / P2X7受容体 |
Research Abstract |
脳内恒常性維持におけるP2X7受容体の役割を明確にするために、ファイティング傾向の強いSJL系マウス由来アストロサイトにおける機能的発現プロファイルを、比較的気性が穏やかとされるddY系由来のものと比較検討した。 無刺激状態において、SJL系マウスアストロサイトにおけるP2X7受容体は活性化状態にあり、それはddY系マウスアストロサイトの場合よりも強く、拮抗剤に対する感受性も異なっていた。一方、P2X7受容体及びそれにリンクして機能するとされるpannexin-1のタンパク質発現量に差はなく、さらにそれら遺伝子の全塩基配列も全く同じであり、SNPも認められなかった。 P2X7受容体バリアントによる3量体構成割合によってその活性が制御される可能性が示唆されているため、バリアントのmRNA発現量を比較した。その結果、いずれのマウス由来アストロサイトにおいても既知の3種類すべてのバリアントが発現し、その遺伝子塩基配列に差異はなかったが、活性制御に特に重要とされるバリアント2種の発現量が両細胞間で異なることが明らかとなった。 これら成績は、脳内恒常性維持におけるP2X7受容体の役割を理解するうえで重要であると共に、そのバリアントによる活性制御がファイティング傾向への影響を示唆する興味深い知見である。 今後、細胞間で発現量の異なるバリアントをそれら細胞に強制発現することにより、バリアントによるP2X7受容体の活性制御機構を明確にしていく予定である。
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