2011 Fiscal Year Annual Research Report
無刺激及びストレス負荷状態でのP2X7受容体を介した神経-アストロサイト機能連関
Project/Area Number |
21590107
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
長澤 一樹 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30228001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 健太朗 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (20533805)
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Keywords | 脳・神経 / 酸化ストレス / 受容体 / ATP / スプライスバリアント |
Research Abstract |
アストロサイトと神経細胞の機能的連関におけるP2X7受容体の役割を解明することを目的とする当該研究課題において、当該年度はP2X7受容体のスプライスバリアントによる活性制御、並びに神経細胞に対し保護的にも傷害的にも働くミクログリアの活性化におけるP2X7受容体の役割について検討した。 非常にファイティング傾向の強いSJLマウス及びそのような傾向のないddY系マウスから得たアストロサイトにおいて、現在報告されているスプライスバリアント4種の発現が認められ、中でもvariant3及び4の発現量は、P2X7受容体の活性化状態の高いSJLマウス由来アストロサイトよりもその活性化状態の低いddYマウス由来アストロサイトにおいて有意に高いことが分かり、より生体環境に近い脳切片実験系においても、アストロサイトに発現するP2X7受容体は無刺激条件下でも活性化状態にあることが確認された。 また、低浸透圧ストレスを負荷されたアストロサイトにおいて、細胞内及び細胞外における遊離型亜鉛レベルが上昇することが明らかとなった。亜鉛は神経伝達物質の1つであり、ミクログリアを活性化することが既に明らかにされている。そこで、亜鉛によるミクログリアの活性化にATP及びP2受容体が関与するかについて検討した。その結果、ミクログリアに亜鉛を暴露すると、亜鉛は細胞内に亜鉛トランスポータであるZIP-1を介して取り込まれ、それに続いてミクログリアからヘミチャネルを介してATPが放出され、それがオートクリン/パラクリン的にミクログリアに発現するP2X7受容体を活性化し、ミクログリアを活性化することが明らかとなった。 以上の成績から、アストロサイト及びミクログリアにおけるP2X7受容体の機能的発現、並びにP2X7受容体のスプライスバリアントの発現の変動が、神経細胞-グリア細胞の機能的連関に重要な役割を担うことが示された。
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Research Products
(13 results)