2009 Fiscal Year Annual Research Report
β-ラクタム剤不活化酵素メタロ-β-ラクタマーゼを標的とする非可逆的阻害剤の創製
Project/Area Number |
21590116
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
黒崎 博雅 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (70234599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 佳宏 熊本大学, 環境安全センター, 准教授 (10363524)
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Keywords | 薬学 / 感染症 |
Research Abstract |
新興薬剤耐性菌が産するβ-ラクタム剤を不活化する複核亜鉛酵素(メタロ-β-ラクタマーゼ)の基質認識と加水分解がどのような構造的基盤で成り立っているのかを明らかにするとともに,本酵素に対する非可逆的阻害剤の開発を目指している. 本年度はメルカプトプロピオン酸誘導体を原点とするメタロ-R-ラクタマーゼの非可逆的阻害剤の合成を行った.そこで,Pentafluorophenyl-3-mercaptopropionate(PFMP)に加え,新たに2,4-ジフルオロフェニル,2,3,4-トリフルオロフェノールをそれぞれ3-メルカプトプロピオンとN,N'-ジシクロヘキシルカルポジイミド存在下で縮合させ2,4-Difluorophenyl-3-mercaptopropionate(DFMP),2,3,4-Trifluorophenyl-3-mercaptopropionate(TFMP)を合成した. 次に,合成した阻害剤がどのようにメタロ-β-ラクタマーゼに結合するかを調べるため,IMP-1メタロ-β-ラクタマーゼとPFMPを共存させた時のMALDI TOF-MS測定を試みた.IMP-1とPFMPを共存させた後,ゲルろ過により遊離の阻害剤を除きMALDI TOF-MS測定をすると,今回得られたスペクトルでは,m/z=25200.3,25290.0,25391.7の3つのピークが観測され,m/z=87.5,177.2,268.9の質量が増加しており,阻害剤はIMP-1と共有結合で相互作用していることを示唆した.今後さらに阻害剤が結合しているIMP-1にトリプシン処理を施してフラグメント化し,どのアミノ酸残基に結合しているのかを特定する予定である.
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