2010 Fiscal Year Annual Research Report
β-ラクタム剤不活化酵素メタロ-β-ラクタマーゼを標的とする非可逆的阻害剤の創製
Project/Area Number |
21590116
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
黒崎 博雅 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (70234599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 佳宏 熊本大学, 環境安全センター, 准教授 (10363524)
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Keywords | 薬学 / 感染症 / 抗生物質 / 細菌 / 酵素 |
Research Abstract |
IMP-1メタロ-β-ラクタマーゼは,その活性中心に2つのZn^<2+>を含む複核Zn酵素である.一方,IMP-1と同様の活性中心残基を持つBcIIメタロ-β-ラクタマーゼでは,生理的条件下で1つのZn^<2+>をもつmono-Zn^<2+>型で存在し,しかも酵素活性を有する.このようにメタロ-β-ラクタマーゼのZn^<2+>と活性の関係の詳細は未だ解明されていない.そこで本年度は,IMP-1の溶液中の配位構造と活性中金属の2つのZn^<2+>の役割を解明することを目的とした 本年度の第一の成果は,IMP-1からZn^<2+>を取り除いたアポ酵素(apo IMP-1)の調製法を確立したことである.これによって分光学的にサイレントなZn^<2+>を同じ配位幾何学をとるCo^<2+>に置き換えたCo^<2+>置換IMP-1の分光学的解析を行うことができた.apo IMP-1とCo^<2+>との分光滴定実験から,apoIMP-1に1当量のCo^<2+>を添加して調製したmono Co^<2+>型IMP-1酵素は,2つの金属配位サイトにそれぞれ7:3の割合でCo^<2+>が分布していることがわかった 次に,apo IMP-1ならびapo IMP-1に1当量のZn^<2+>を添加したmono-Zn^<2+>型IMP-1酵素のDifferential Scanning Calorimetry解析結果から,それらのT_m値は野生型IMP-1>mono-Zn^<2+>型IMP-1=apo IMP-1の順で高く,Zn^<2+>が加わることにより熱安定性が増大することが示唆された これらの結果から,二つ目のZn^<2+>の役割は,酵素の構造学的安定性に寄与していると示唆された
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