2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規徐放性医薬の開発を目的とした生理活性分子結合ポリマーの創製
Project/Area Number |
21590127
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
若槻 康雄 Nihon University, 文理学部, 教授 (20087513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 隆 日本大学, 文理学部, 教授 (60060125)
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Keywords | ステロイド / ROMPポリマー / 徐放性医薬 / Grubbs触媒 / ビニリデン錯体 / ポリマーフィルム |
Research Abstract |
ステロイド類(estrone, estradiol, ursodeoxychlic acid, chenodeoxychlic acid, cortisone, prednisone, dexamethasone)とノルボルネンの5位をエステル基で結合したモノマーを合成し、Grubbs-2^<nd>触媒およびルテニウムビニリデン触媒を用いて開環メタセシス重合反応性を検討した。エストロン誘導体については室温で重合可能であり、Grubbs触媒が高い活性を示した。それ以外のモノマーについては溶解性が高くなく、70℃程度の加熱下で重合する必要があった。加熱条件では、合成容易なルテニウムビニリデン錯体も高い活性をもつ事がわかった。Grubbs触媒は加熱条件でback-bitingなどポリマーの2次反応を起こすため分子量分布が広くなる傾向をもつのに対し、ポリマーの二重結合に対する反応性が劣るビニリデン錯体は2次反応が遅く、この点で優れていることが明らかとなった。 これらの重合体は溶媒キャスト法によりすべてフィルム化することができた。 エストロン誘導体のポリマーフィルムについて弱酸性条件でエステル基の加水分解によるエストロンの徐放性を検討した。貼付医薬を想定し体温付近の温度(36℃)で放出量をGCで追跡したところ80時間で12%の徐放出が確認できた。 ステロイド類以外の生理活性基としてヒノキチオールをノルボルネンにエステル結合したモノマーも合成した。このモノマーの重合にはGrubbs触媒が高い活性を示した。重合体フィルムをエステラーゼを混合した寒天培地に置いたところ大腸菌の繁殖を強く阻害する効果が確認できた。
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