2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規徐放性医薬の開発を目的とした生理活性分子結合ポリマーの創製
Project/Area Number |
21590127
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
若槻 康雄 日本大学, 文理学部, 教授 (20087513)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 隆 日本大学, 文理学部, 教授 (60060125)
|
Keywords | ROMPポリマー / 抗菌フィルム / 銀イオン / ピリジル基 / 大腸菌 / 枯草菌 |
Research Abstract |
銀イオンは人畜無害でありながら強い殺菌、抗菌効果をもつ「生理活性金属イオン」として利用されてきた。近年の衛生観念の一般化と共に身の回りで多用されるプラスチックに銀イオンを利用して抗菌性を付与する事が一部実用化されているが、これらは銀金属コロイドをポリマー溶液中で作ったのち固化成形する手法によっており表面に露出した一部銀微粒子のみしか抗菌効果に参加しない、金属銀微粒子から銀イオンが溶出するのを利用する為に即効性に乏しいなどの問題点があった。 本研究では最近実用化が始まった為に抗菌性の付与が検討されていないノルボルネン類ROMPポリマーのフィルムに強力で即効性のある抗菌性を付与するために、銀イオンそのものを同ポリマーに結合する手法を開発した。銀イオンとは結合するが重合触媒に配位して失活させる事のないルイス塩基としてピリジル基の2-位をノルボルネンと結んだモノマーを合成しRu錯体触媒で重合と、ポリマーのフィルム化に成功した。フィルムを銀イオン溶液に含浸した後乾燥すると表面に存在する全てのピリジル基が銀イオンを結合している事を他の合成ルートから証明できた。この様にして得た銀イオンでコーティングしたポリマーフィルムは期待通り強い抗菌性を示し、所定濃度の大腸菌や枯草菌の培養液に微小片を加えると菌が繁殖できず、1日後に菌培養液を新規に取り替えても効果は持続することがわかった。数回にわたる抗菌性試験で効果が無くなった場合はフィルムを再度銀イオン溶液に浸すことで容易に元の抗菌性を再生できた。今後は繰り返し再利用が可能な食品包装剤などへの応用を検討してゆく。
|