2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規徐放性医薬の開発を目的とした生理活性分子結合ポリマーの創製
Project/Area Number |
21590127
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
若槻 康雄 日本大学, 文理学部, 教授 (20087513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 隆 日本大学, 文理学部, 教授 (60060125)
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Keywords | ノルボルネン付加重合 / ゼロ価パラジウム触媒 / ビニルノルボルネン / 分子量制御 / 耐熱性フィルム |
Research Abstract |
H23年度は、医薬品を保持し、かつ加熱殺菌処理を行うことが可能な高耐熱性ポリマーマットリックス分子の合成研究を行った。ポリマーとして耐熱性に優れかつ生理活性分子と結合できる官能基の導入が容易なノルボルネン類の付加重合体を応用いることを計画した。従来ノルボルネン類の付加重合用の遷移金属触媒は多数開発されているものの、極性基置換ノルボルネン特に本目的に合致したポリマーを効率良く与える触媒系は見出されていなかった。 各種錯体と助触媒について検討した結果0価パラジウムであるPd(dba)2(dba:ジベンジリデンアセトン)と(CPh3)[B(C6F5)4]を等モル混合した系が極めて有効な触媒となる事を見出した。従来の錯体触媒が開始剤となる金属アルキル結合を意識してあらかじめM-R(M:遷移金属、R:ヒドリド、アルキル、ハロゲン、カルボキシラートなどの陰性基)結合を持つ錯体を使用していたのに比べ、本触媒系は極めて新規性が高い。特にビニル置換基を5-位に結合したノルボルネンは他の用途のために工業生産されており安価に入手できるが、従来触媒系ではクロスリンクによる不溶化などの問題があった。本触媒系を用いると環内のC=C結合」のみで選択的に重合しビニル側鎖を持った可溶性高分子量体が高収率で得られた。ビニル側差はオゾンとの反応後アルコールを加えることにより容易にエステルへと変換できる事を確認した。この様なポリマー反応の手法を用いる事により、生理活性分子やイオンを結合したフィルムに耐熱性という従来に無い特性を付与する路が開拓できた。 その他、本触媒系は重合温度によって生成ポリマーの分子量が制御できるなど、従来の触媒系には見られない有用な特性をもつ事がわかった。
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Research Products
(1 results)