2011 Fiscal Year Annual Research Report
リボザイムの機能解明と乳癌抑制作用を持つイミダゾールC-ヌクレオシドの合成
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21590130
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
春沢 信哉 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (90167601)
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Keywords | リボザイム / ホロアミダイド / chemo-genetic method / テトラゾール / 乳癌増殖阻害 / 17β-HSD / H_3アンタゴニスト / 白金(II)二核錯体 |
Research Abstract |
RNA触媒(リボザイム)の反応機構は、今だほとんど解明されていない現状にある。我々は、C4-置換イミダゾール(Imz)C2'-O-TMS-リボヌクレオシドホロアミダイド(C_0-PA,1)を創製以来、リボザイムの中心塩基にImzを挿入することで、「リボザイムの酸-塩基触媒反応機構を解明する新しいchemo-geneticmethod」を開発してきた。さらに不安定な1から、Imz-NにPOM基、2'-OHにシアノエチル(CE)基を用いる新しい保護基の組み合わせを開発することで安定なImz-N-POM-2'-O-CE-C_n-PAs2(n=0,2)が生成することを見出した。特に、2a(n=2)から、VSリボザイムの活性中心のG638にC_2-Imzを導入するとC_0-Imzの場合より、切断速度が15倍増加するという重要な知見を得た。昨年度は、さらに系統的に切断速度を調べるために炭素鎖n=1,3のPAs(2b,c)の合成を検討しそれらの合成を達成した。これまでの研究は、Imzの酸-塩基両性に基づいたリボザイムの重要な2つの核酸塩基を決定するアプローチであった。しかし、Imzを用いた時、どちらの核酸塩基が酸あるいは塩基として機能しているのかという事を決定することは出来ない。そこで、我々は医薬品開発の中でカルボン酸の等価体として用いられるテトラゾール(Tez)に着目し、リボザイムの重要核酸塩基をTezで置換する新しい化学的手法を考案し、その実現に向けてTez-C_n-PAsの合成研究を現在行っている(現在 Tetrahedron Lett.に投稿中)。 一方、乳癌増殖阻害を目的として従来ヒト17β-HSD阻害剤活性を持つエストラジオール(E_2)とImz-C_n-ヌクレオシドのハイブリッド化合物の合成研究を行ってきたが、昨年よりヒト(h)のヒスタミンH_3アンタゴニストの乳癌増殖抑制効果に基づいた強力な非イミダゾール系hH_3アンタゴニストの発見、さらに白金制癌剤に着目したテトラゾ架橋白金(II)二核錯体の開発を行い、その中から、膵癌に対して顕著な腫瘍活性を発揮するものを見出することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
我々の一連のイミダゾールアミダイトの合成研究を終え、VS及びヘアーピンリボザイムの反応機構の解明では(英、ダンディ大)、系統的な研究成果が得られた。これは、現在論文投稿のための整理段階である。また、本研究から発展したテトラゾールアミダイトでも合成上の基礎研究を終え、現在その成果を投稿している段階である。また、昨年からの乳癌増殖抑制を目的とした非イミダゾール系hH_3アンタゴニストでの顕著な成果は、二度の国際学会での発表後、本年度中の論文発表を目指している。また、昨年度から開始したテトラゾ架橋白金(II)二核錯体の開発研究では、すでに合成の論文とすい臓癌での顕著な腫瘍抑制活性の両方の論文を現在作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
テトラゾールアミダイトを用いてリボザイムの中心核酸塩基のうち一般酸触媒として機能する核酸塩基を特定する新しいchemo-genetic_methodの確立を目指す(D.M.J.Lilley教授、英、ダンディ大との共同研究)。非イミダゾール系hH_3アンタゴニストでは、誘導体合成の研究を行うことで臨床応用可能な新規リガンドの開発を行う(大阪大、大和谷厚教授と大阪薬科大学、高岡昌徳教授との共同研究)。また、わずか1年で成果が得られているテトラゾ架橋白金(II)二核錯体の開発研究は、鈴鹿医療科学大学の米田誠治博士との共同研究である。いずれも我々の合成研究と他の研究領域との研究者との協力関係で進めており、今後も順調に推移すると思われる。したがって、これからの研究の継続的発展と高いレベルの研究成果を期待している。
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Research Products
(12 results)