2010 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体を用いた天然・養殖マグロの判別、化学物質の蓄積特性と地域差に関する研究
Project/Area Number |
21590135
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
遠藤 哲也 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (10133216)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 治 北海道医療大学, 個体差医療科学センター, 講師 (10418882)
|
Keywords | マグロ / 養殖 / 安定同位体 / 水銀 / PCB / 機塩素系化合物 |
Research Abstract |
日本で養殖し市場で販売されているクロマグロは小型であるが、その安定同位体比(δ^<15>Nとδ^<13>C)は日本近海で捕獲されている大型の天然クロマグロとほぼ同じであり、養殖地における地域差は認められなかった。一方天然のクロマグロのδ^<15>N値は北の地域で捕獲したものほど低くδ^<13>C値は高い傾向を示したが、キハダマグロとビンナガマグロのδ^<15>N値は北の地域で捕獲したものほど高くδ^<13>C値は低い傾向を示した。養殖クロマグロの水銀汚染度は市場で販売されている天然クロマグロよりは低く、これは魚体(年齢)が小さいことが原因と考えられる。養殖クロマグロの有機塩素系化合物の汚染度は魚体の大きな天然クロマグロと同じレベルで、これは養殖マグロが脂を多く含んでいることが原因と思われる。養殖クロマグロの水銀および有機塩素系化合物による汚染度には養殖地域による地域差は認められなかった。一方天然クロマグロ、キハダマグロおよびビンナガマグロの水銀汚染度は南の地域ほど高かったが、有機塩素系化合物による汚染度は北の地域ほど高かった。これらの結果から養殖クロマグロの安定同位体比、水銀および有機塩素系化合物による汚染度は、養殖地の海水汚染度よりは餌として用いている小魚の汚染度を強く反映していると思われる。グアムやパラオで捕獲したキハダマグロ、またオセアニアで捕獲したキハダマグロの安定同位体比と有機塩素系化合物の汚染度は日本近海の天然キハダマグロとかなり異なることから、捕獲地域を識別できる可能性を示唆している。
|
Research Products
(4 results)