2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内亜鉛応答システムの分子基盤解明と重金属イメージングセンサーとしての応用
Project/Area Number |
21590136
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大塚 文徳 帝京大学, 薬学部, 教授 (80160547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 信滋 (独)安衛研, 研究企画調整部, 特任研究員 (80183325)
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Keywords | 環境 / 衛生 / 亜鉛センサー / 亜鉛 / 転写因子 |
Research Abstract |
本研究は亜鉛依存性転写因子MTF-1を細胞内亜鉛のイメージングセンサーとして利用することを目的としているが、そのためにはまずMTF-1の亜鉛応答機構を明らかにする必要がある。本年度は「MTF-1の亜鉛フィンガードメインは単なるDNA結合モジュールではなく、亜鉛依存的な構造変化を介して核局在性や転写活性などにも関与する多機能性フィンガーである」という作業仮説を設定し、以下のような解析を行なった。 1.MTF-1の6個のフィンガーのうち、第5、6フィンガーはDNA結合に関与しておらず、特に第5フィンガーは転写活性に関与している。昨年度に引き続きフィンガースワッピング変異体をさらに追加作成してレポーターアッセイで評価した結果、昨年度の結論である第5フィンガーの位置の重要性とともに、他のフィンガーは第5フィンガーの代替にはならないことがわかった。これによりMTF-1の転写活性化機構における第5フィンガーの特異性が明確となった。 2.MTF-1は、非変性ゲル電気泳動において亜鉛依存的な移動度変化を起こす。これは本因子の亜鉛依存的なタンパク構造変化などを反映している可能性が高い。そこで、異なるタグを持つ二種のMTF-1を細胞中に共発現させ、タグに特異的な抗体で免疫沈降実験を行なったところ、MTF-1の亜鉛依存的な自己重合の可能性が示唆された。現在様々な欠失変異体を用いて、この自己重合に関わるタンパク領域の同定を試みている。 3.MTF-1の亜鉛応答性構造変化を、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)によって可視化できれば、MTF-1の亜鉛応答イメージングに有用であると考え、N末端とC末端にドナーとアクセプターとなる蛍光ペプチドを導入して細胞に発現させたが、有意な亜鉛誘導性FRETシグナルは検出できなかった。しかし、2で述べたような自己重合が起るとすれば、今回試した1分子FRETよりも2分子FRETの系が適当と考えられるため、現在新たな系を構築中である。
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Research Products
(2 results)