2011 Fiscal Year Annual Research Report
腸内細菌叢の精査解析法の開発と潰瘍性大腸炎原因菌の特定・有効抗菌薬の検索
Project/Area Number |
21590138
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
河村 好章 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (80262757)
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Keywords | 感染症 / 微生物 / 細菌叢 / 潰瘍性大腸炎 |
Research Abstract |
潰瘍性大腸炎の発症に関しては、これまでの多くの知見から特定の腸内細菌との関連性が取り沙汰されているが、膨大な量の腸内細菌叢の陰に隠れ、その原因菌の特定は出来ていない。潰瘍性大腸炎発症にかかわる責任微生物を特定し、加えて有効な抗菌薬の検索を行うことを目的として研究を行っている。 2年目にメタゲノム解析法によりデキストラン硫酸で潰瘍性大腸炎を発症させたマウスに特異的に存在している菌群を見出すことに成功した。文献上、それらの幾つかについては潰瘍性大腸炎と同じ慢性腸疾患であるクローン病の原因であると推定されていた。そこで当該菌株を米国より輸入し、培養の後、健常マウスに経口投与を行った。経口投与を4週間実施したところ、外観上は下痢や軟便あるいは下血といった顕著な症状は示さなかったが、剖検の結果、腸管には炎症細胞の塊と思われる所見が見られ、炎症状態となっていることが確認できた。健常マウスより有意に多数検出された菌種についても同様に経口投与を実施したが、まったく炎症症状は見られなかった。 以上のことより、我々が実施したアプローチで見出すことができた菌群は潰瘍性大腸炎の発症に少なからず関与していると考えられた。 なお、潰瘍性大腸炎モデルマウスから特異的に見出された複数の菌群は、全て"Eubacterlum rectale-Clostridium coccoides"グループ(Clostridium cluster XIVa)に含まれ、遺伝学的に類縁の菌群であった。これら菌群に共通のflagella抗原等の免疫刺激と潰瘍性大腸炎発症との関連性は非常に興味深い。
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Research Products
(1 results)