2011 Fiscal Year Annual Research Report
GPIアンカー欠損スプライス変異型プリオン蛋白質発現解析のプリオン病診断への応用
Project/Area Number |
21590146
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
菊池 裕 国立医薬品食品衛生研究所, 衛生微生物部, 室長 (10234197)
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Keywords | プリオン / 選択的スプライシング / GPIアンカー |
Research Abstract |
ヒト膠芽腫細胞株T98Gが発現するプリオン蛋白質遺伝子のmRNAを解析し、プリオン蛋白質(PrP)のC末端とGPIアンカーシグナル配列をコードする塩基配列が欠落したスプライス変異型プリオン蛋白質(PrPSV)を同定した。蛋白質産生の確認を目的としてヒトPrPSVのC末端を特異的に認識する抗体を作製し、T98G細胞が蛋白質を産生していること、ヒト脳由来total RNAでPrPSV mRNAの発現を確認した。同様の手法を用い、ウシ角膜細胞株BCE-C/D-1b及びヒツジ脳由来細胞株OA1からPrPのC末端とGPIアンカーシグナル配列を欠落したPrPSV mRNAを同定した。しかし、ウシ及びヒツジPrPSVのC末端部位に相当する数種類のペプチド抗原を調製してマウス及びニワトリを免疫したが、特異抗体産生ハイブリドーマを樹立出来なかった。ヒトに比較してウシ及びヒツジPrPSVのC末端部位は極めて疎水性が高いことから抗原性が低く、宿主に抗体産生を惹起しなかったと考えられる。また、数種類のマウス神経系細胞株及び脳由来total RNAでPrPSVの検索を試みたが、選択的スプライシングを同定出来なかった。最近、ゼブラフィッシュ胚のmRNA発現解析で、選択的スプライシングによりGPIアンカーシグナル配列を欠損したPrP mRNAが確認された[Genome Res.21:1328-1338(2011);Prion 5:88-92(2011)]。また、定量リアルタイムPCR法でウシ及びヒツジ脳由来total RNAでPrPSV mRNAの発現を確認したことから、様々な真核生物でPrPSV mRNAを発現が予想される。現在はPrP遺伝子ノックアウトマウス脳由来細胞株HpL 3-4にPrPSV遺伝子を導入し持続的産生細胞株を樹立し、GPI欠損型PrPSVの生理機能の解明を進めている。
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