2009 Fiscal Year Annual Research Report
人為的変異誘導によるインフルエンザウイルスの弱毒化とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
21590153
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
林 京子 University of Toyama, 医学薬学研究部, 助教 (60110623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松谷 裕二 富山大学, 医学薬学研究部, 教授 (50255858)
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Keywords | インフルエンザウイルス / 弱毒化 / グリセロール誘導体 |
Research Abstract |
グリセロール誘導体である(1R,2R)-1-(5-methylfur-3'-yl)propane-1,2,3-triol(MFPT)の存在下でインフルエンザウイルス(IFV)を増殖させると、マウスでの病原性の低下したウイルスが得られた。本年度は、さらに弱毒化能力の高いMFPT誘導体を合成すること、MFPT処理IFVのタンパク質レベル及び遺伝子レベルでの変異の有無を解明することを目的とした。MFPTのメチル化などによって数種類の誘導体を合成し、IFV増殖阻害効果を指標にした活性試験を行ったところ、MFPTよりも優れた化合物は見出せなかった。そのため、MFPTを本研究の材料にすることに決定し、合成方法を開発して、多量のMFPTを確保できた。一方、MFPT処理を10回繰り返してウイルスクローンを得た。これらのクローンの特性として、(1)マウスにおける病原性が低くかつ増殖能が高い、(2)in vitro実験において子孫ウイルス放出量が低下している、(3)感染細胞におけるウイルス特異的蛋白の検出量はやや多い傾向が見られる、(4)ウイルスのHA及びNAの遺伝子配列には変異が生じていないという点が確認できた。次年度には、他のウイルス遺伝子を解析し、クローンの病原性を規定している因子を検討する。さらに、IFV感染動物に対するMFPTの影響を、体内ウイルス産生量及びウイルスの変異誘導の有無の点から解析する。また、MFPT処理ウイルスが弱毒株としての条件を満たしているかを、免疫機能への影響も含めて検討する。
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Research Products
(1 results)