2010 Fiscal Year Annual Research Report
人為的変異誘導によるインフルエンザウイルスの弱毒化とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
21590153
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
林 京子 富山大学, 医学薬学研究部, 講師 (60110623)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松谷 裕二 富山大学, 医学薬学研究部, 教授 (50255858)
|
Keywords | インフルエンザウイルス / 弱毒化 / グリセロール誘導体 |
Research Abstract |
インフルエンザウイルス(IFV)を、グリセロール誘導体である(1R,2R)-1-(5'-methylfur-3'yl)propane-1,2,3-triol(MFPT)の存在下で増殖させると、病原性の低下した子孫ウイルスが得られた。本研究の目的は、弱毒化ウイルスの特性を明らかにして、将来的な弱毒生ワクチンの開発への手がかりをつかむことである。 これまでに、MFPT処理によって得られたウイルスクローンが,遺伝子レベルで変異を起こしていないかを検討してきた。その結果、宿主細胞へのウイルスの結合や子孫ウイルスの放出に重要な役割を果たす2種類の糖蛋白質(HA及びNA)には変異が認められず、NP(nucleoprotein)、M proteinも保存されていることがわかった。一方、NS(non-structural)protein 1(NS1)の遺伝子塩基配列には、すべてのクローンに共通した変異が生じていて、しかもこれまでに報告されていない新規のものであることが明らかになった。残りのIFV遺伝子についても、現在塩基配列を解析中である。これらのデータに基づいて、MFPTがIFVの病原性に関与するメカニズムをさらに詳細に検討する予定である。 今年度までにMFPTを大量に合成できた。これを用いて、MFPT自体が、生体内でのIFV増殖にどのような影響をもたらすのかを検討することも、本研究の目的の1つである。これまでのマウスへのIFV感染実験において、MFPTがウイルス増殖に一定の抑制的効果を及ぼすことが明らかになったことから、上述の遺伝子レベルでの変異誘導と生体内でのウイルス増殖抑制効果との関連性を、今後検討する予定である。
|