2010 Fiscal Year Annual Research Report
がん性疼痛患者におけるオピオイド鎮痛薬の体内動態と薬効・副作用の変動予測法の構築
Project/Area Number |
21590155
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
川上 純一 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (50272539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 隆文 浜松医科大学, 医学部附属病院, 副薬剤部長 (80422749)
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Keywords | オピオイド / オキシコドン / 遊離形分率 / 耐性形成 / 有害反応 / アルブミン / α1酸性糖タンパク |
Research Abstract |
がん患者の多くは、外科療法、化学療法および放射線療法による栄養摂取状態の悪化により、低アルブミン血症をきたす。一方、進行がんにおいては、がん細胞の組織浸潤により、α1酸性糖タンパクのような炎症性タンパクが誘導される。本研究では、がん患者におけるアルブミンやα1酸性糖タンパクの血中挙動のオキシコドンの遊離形分率、耐性形成および中枢性有害作用に及ぼす影響について評価した。がん性疼痛に対し、オキシコドン徐放錠の服用を開始した47名の患者を対象とした。対象としたがん患者の血清アルブミン値は、正常域に比べ低値を示した。一方、血清α1酸性糖タンパク値は、正常域に比べ高値を示した。また、血清アルブミン値については、オキシコドンの遊離形分率との有意な負の相関が認められるものの、血清α1酸性糖タンパク値では、相関性は確認されなかった。血清アルブミン値は、オキシコドンの耐性形成の指標となるopioid escalation indexとの正の相関が認められた。さらにがん患者における血清アルブミン値の低下と中枢性有害作用の発生率の上昇には、有意な関係が示された。一方、血清α1酸性糖タンパク値は、opioid escalation indexや中枢性有害作用に影響を及ぼさなかった。以上より、がん患者において、血清アルブミン値はオキシコドンの遊離形分率に影響を及ぼすことが示された。さらに血清アルブミン値は、オキシコドンの耐性形成や中枢性有害作用にも、影響を及ぼすことも示された。
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