2009 Fiscal Year Annual Research Report
薬物の消化管内溶解挙動及び初回通過効果の解析とその経口吸収挙動予測への応用
Project/Area Number |
21590158
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木村 聰城郎 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特命教授 (10025710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜恒 和孝 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60284080)
大河原 賢一 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (30291470)
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Keywords | 経口窒収 / 初回通過効果 / P-glycoprotein / Cytochrome P450 3A / quinidine / 発現タンパク量 / 吸収クリアランス / 小腸抽出率 |
Research Abstract |
申請者らは、これまでに経口投与後の初回通過効果に対する小腸と肝臓の寄与の定量的な評価を可能とする小腸・肝臓同時灌流法を確立した。また、dexamethasone前処理により、異なった発現レベルでCytochromeP450 3A(CYP3A)及びP-glycoprotein(P-gp)を有するラットの作製にも成功した。本年度は、これら確立した実験系を用い、quinidineをモデル薬物として、初回通過効果におけるCYP3A及びP-gpの寄与について、発現タンパク量との関係から検討を進めた。対照ラット群を含めた、異なる4つのレベルでP-gp、CYP3Aを発現するラット群を用い、quinidineの初回通過効果に対する小腸及び肝臓の寄与を定量的に評価した。既に、in vitro系により評価したP-gp、CYP3A活性との相関性より、小腸における初回通過効果に対する寄与は、P-gpよりもCYP3Aの方が大きい可能性が示唆されているが、本年度は、実際に小腸・肝臓同時灌流実験を行ったラットの小腸に実際に発現しているP-gp、CYP3A量をWesternblot法により定量的に評価し、タンパク発現量と吸収クリアランス、小腸抽出率との関係の解析を試みた。灌流実験終了後、ラットより小腸を採取し、組織中のP-gp、CYP3Aの発現タンパク量を評価した。小腸灌流部位の上皮細胞を用い、刷子縁膜画分を調製しP-gp及びvillinを、小腸ミクロソーム画分を調製しcYP3Aを、それぞれウエスタンブロット法により検出した。P-gp及びcYP3Aをそれぞれvillinにより規格化することにより、発現量を定量的に評価した結果、DEX処理により、P-gp発現量は1.4~2倍、CYP3A発現量は1.7倍~2.2倍に上昇していることが明らかとなった。次に、quinidineについて、小腸・血管同時灌流により得られた吸収クリアランス、小腸抽出率と、in vitro実験で得られたP-gp及びCYP3A活性あるいは、P-gp及びCYP3A発現量との相関性を検討した。その結果、吸収クリアランスと、P-gp活性、P-gp発現量との問に有意な相関性は認められなかったが、小腸抽出率とP-gp、CYP3A活性及びこれらの発現量との間には、それぞれ有意な相関性が認められた。更に、重回帰分析により小腸抽出率に対するP-gp及びCYP3Aの寄与の分離評価を試みた結果、小腸抽出率の変動に対するP-gp、CYP3A活性及び発現量の変動の関与は示されたが、小腸抽出率の変動は主にCYP3Aに依存しており、P-gpの寄与は小さいものと推定された。
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Research Products
(8 results)