2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト赤血球膜におけるリバビリン輸送のトランスポートソーム解析
Project/Area Number |
21590162
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
湯元 良子 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70379915)
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Keywords | リバビリン / 赤血球膜 / 膜小胞 / ヌクレオシドトランスポーター1(ENT1) / ウリジン / トランスポートソーム |
Research Abstract |
抗ウイルス薬リバビリン(ヌクレオシドアナログ)の重大な副作用である赤血球障害はその赤血球内移行と密接に関連する。本研究ではリバビリンの赤血球膜輸送機構を解明するため膜レベルでの検討を行った。 当初、インタクトな赤血球におけるリバビリン輸送はヌクレオシドトランスポーター1(ENT1)阻害剤NBMPRで阻害されるが、膜小胞系では促進されるという矛盾する結果を得た。この原因としてトランスポートソームの観点から赤血球内の何らかの物質が活性調節に関わる可能性について検討したが、その後の詳細な解析により、洗浄過程における小胞からのリバビリンエフラックスの関与が示唆された。そこで実験系を改善することで、以下に示す結果を得た。 1. ヒト血液からright-side-out型の小胞(ROV)およびinside-out型の小胞(10V;反転小胞)を調製した。酵素法により、ROV率は76.1±1.8%、10V率は55.6±2.8%と見積もられた。 2. ROV及び洗浄赤血球におけるリバビリン、ウリジンの取り込みには濃度依存性が認められ、両基質問で取り込みの相互阻害も認められた。また、いずれの取り込みも各種ENT1阻害剤により阻害された。 3. 10Vにおけるリバピリンの輸送にATP依存性は認められなかった。 以上の結果から、ヒト赤血球において、リバビリンはウリジンと共通の輸送系、すなわちENT1を介して取り込まれること、またATP依存的な排出は関与しないことを膜レベルで明らかにすることができた。さらに上記の過程で恒温動物であるヒトのトランスポーターが氷冷下で機能するという極めて新規な知見を得た。また比較として用いたアラニンの輸送解析においてトランスポートソームの関与が示唆されたため、これらの点についてもさらに検討を進める予定である。
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