2011 Fiscal Year Annual Research Report
腹膜透析時における腹膜障害の早期診断・治療法の開発
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21590165
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
麓 伸太郎 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (70380988)
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Keywords | 腹膜透析 / 腹膜肥厚 / 腹膜透過性の亢進 / 診断薬 / 遺伝子治療 / プラスミドDNA / デキストラン |
Research Abstract |
本研究では、長期腹膜透析施行時において問題となる腹膜の障害に対し、早期診断・治療法を確立することを目的としている。本年度においては、モデル動物としてMGO処理ラットを用い、透析液の除水能と物質交換能を分離評価しながら、腹膜障害を早期に診断する方法の開発に成功した。また、治療法として遺伝子治療について検討し、腹膜全体に遺伝子導入を行う簡便な方法の効率および安全性を高めることに成功した。 診断法として、除水能に関しては分子量200万のデキストランが適切であることが示された。また透過性に関しては、分子量1万のデキストランの腹膜透過性を、分子量200万のデキストランにより水分の移動を補正することで評価可能であり、透析液を全量回収せずとも、腹膜障害が評価可能であった。この方法により、既に報告されている腹膜障害の治療薬(エナラプリル、サリドマイド)について、治療効果が評価可能か検討したところ、治療薬による除水能の回復が評価可能である上、腹膜透過性についてはエナラプリル、サリドマイドともに改善効果がないことを示すことができた。腹膜透過性は老廃物の除去能に直結し、腹膜透過性を簡便に評価可能な本法は腹膜障害の評価法として非常に優れるものと思われる。 治療法として遺伝子治療を考え、昨年度、炭酸カルシウムをプラスミドDNAと併用する方法を開発した。本年度においては、アサガオ型の炭酸カルシウムの粒子を新規に開発し、市販の炭酸カルシウムより少ない濃度で高い遺伝子導入効率を示すとともに、腹腔内投与しても、安全性の指標であるLDH活性を増大させなかった。 本研究で開発した早期診断法により、従来報告されている腹膜障害の治療法では物質交換能の回復が不充分であることが明らかとなった。また、腹膜障害に対する遺伝子治療法の確立に繋がる基礎が築けた。
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Research Products
(10 results)