2010 Fiscal Year Annual Research Report
網膜血管系のレドクス恒常性維持機構の破綻に起因する病態増悪メカニズムの解明
Project/Area Number |
21590169
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
足立 哲夫 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (40137063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 宏和 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (30305495)
神谷 哲朗 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (60453057)
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Keywords | スーパーオキシドジスムターゼ / 小胞体ストレス / 酸化ストレス / 糖尿病網膜症 / 血管透過性 / タイトジャンクション / 虚血 / EC-SOD |
Research Abstract |
糖尿病性網膜症の進展過程においては酸化ストレスや小胞体ストレスが網膜細小血管系の恒常性を破綻し、無秩序な血管新生が失明を誘発することが知られている。網膜細小血管系は内皮細胞とそれを取り囲むpericyte、 Muller細胞からなる。我々は、すでに増殖性糖尿病網膜症患者では硝子体中のextracellular- superoxide dismutase(EC- SOD)が高値を示すことを明らかにしているが、そのメカニズムを解明するため、特に内皮細胞に小胞体ストレスを負荷した場合のEC-SODの発現や局在性の変化について検討した。マウスに小胞体ストレス誘導剤であるツニカマイシン(Tm)を眼内投与した場合、網膜のvascular endothelial growth factor(VEGF)や小胞体ストレスマーカーであるGRP78のmRNAレベルは上昇したが、EC-SOD mRNAには変動がみられなかった。次に培養ラット網膜血管内皮細胞に小胞体ストレス誘導剤タプシガルギン(Tg)またはTmを負荷した場合、EC-SOD発現には変化が認められなかったが、GRP78やVEGF発現は上昇していた。一方、タイトジャンクション構成タンパクの内、occludinの発現には変化が認められなかったが、caludin-5の発現が有意に低下していた。次に、トランスウエルを用いた内皮細胞層透過性実験の結果、TgまたはTmにて内皮細胞を処理した場合、細胞層電気抵抗値の低下とともに、FITC-dextranやFITC-albuminの透過性が有意に上昇し、さらにEC-SODの透過性も有意に亢進していた。また、このような結果は、小胞体ストレス抑制剤である4-phenylbutric acid(PBA)にて細胞を前処理することで有意に抑制された。以上の結果より、糖尿病網膜症患者硝子体中のEC-SODレベルが高値を示す理由は、網膜においてEC-SOD発現が亢進するのでなく、網膜血管透過性が亢進し血中EC-SODが漏出したためであることを示すことができた。
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Research Products
(27 results)