2011 Fiscal Year Annual Research Report
網膜血管系のレドクス恒常性維持機構の破綻に起因する病態増悪メカニズムの解明
Project/Area Number |
21590169
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
足立 哲夫 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (40137063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 宏和 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (30305495)
神谷 哲朗 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (60453057)
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Keywords | 小胞体ストレス / 糖尿病網膜症 / 血管透過性 / タイトジャンクション / 網膜血管内皮細胞 / MAP-kinase / NF-kB / デキサメタゾン |
Research Abstract |
糖尿病網膜症の進展過程においては小胞体ストレスが網膜細小血管系の恒常性を破綻し失明を誘発することが知られている。網膜血管内皮細胞は血液網膜関門の本体であり、細胞層透過性を厳しく制御することで炎症病態の発症を阻止している。そこで培養ヒト網膜血管内皮細胞を用い、小胞体ストレスを負荷した場合の細胞層透過性とタイトジャンクション構成タンパク発現の変動並びにそのメカニズムについて明らかにすることを目的とした。 ヒト網膜血管内皮細胞は常法に従って培養し、トランスウエルを用いて細胞層透過性を検討した。ヒト網膜血管内皮細胞を小胞体ストレス誘導剤であるthapsigargin(Tg)またはtunicamycin(Tm)にて処理した場合、内皮細胞層電気抵抗値の低下とともにFITC-dextranの細胞層透過性が時間依存的に有意に上昇した。TgまたはTmの処理により、タイトジャンクション構成タンパク質の内、claudin-5の発現が有意に低下した。次に、この反応の調節機構について検討した。p38 MAPK阻害剤であるSB203580またはNF-kB阻害剤であるdexamethasone、pyrrolidine dithiocarbamateを添加した場合、Tg処理によるclaudin-5の発現低下は有意に抑制された。また、このdexamethasoneの作用はRU486により阻害された結果より、ステロイド受容体依存性であることが判明した。さらに、NF-κB活性化剤であるTNF-αやlipopolysaccharideによってもclaudin-5発現の抑制が確認された。Tg処理によりp38MAPKのリン酸化やNF-κBの核移行も観察された結果から、小胞体ストレスに起因するclaudin-5の発現低下にはp38 MAPK、NF-κBシグナリングが関与していることが明らかとなった。
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Research Products
(22 results)