2009 Fiscal Year Annual Research Report
サイクリン依存性キナーゼによる肝薬物代謝酵素活性制御機構の解明
Project/Area Number |
21590170
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
三輪 匡男 University of Shizuoka, 薬学部, 名誉教授 (10046287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅谷 純子 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (30098131)
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Keywords | サイクリン依存性キナーゼ / 肝薬物代謝酵素 / 発現制御 / 核内受容体 / シグナル伝逹 / 転写調節 / CDK 2 / 細胞周期 |
Research Abstract |
我々は細胞周期調節因子であるサイクリン依存性キナーゼ(CDK)を介してCARの発現が調節されていることを報告している。本研究において肝がん細胞HepG2の増殖を抑制するHGFが、CARが転写調節の中心的役割を演じているUGT1A1やCYP2B6の発現を亢進することを初めて明らかにした。HGFがCDK阻害因子p16、 p21、 p27の発現を亢進させることから、HepG2、 HuH6、 SW480細胞を用い、各種CDK阻害剤、細胞情報伝達阻害剤が薬物代謝酵素の発現レベルに及ぼす影響をリアルタイムPCR、ウェスタンブロッティング法を用いて解析した。HuH6細胞にHGFを作用させてもp16、 p21、 p27の発現亢進や増殖抑制は認められず、またUGT1A1やCYP2B6の発現誘導も認められなかった。RoscovitineによりUGT1A1、 CYP2B6、 CYP3A4の有意な発現亢進が認められたが、HGFによる発現亢進がU0126により抑制されたことから、ERK→p16、 p21、 p27→CDKを介した制御の可能性が推察された。CDK 4をノックダウンしても影響は認められなかったが、CDK 2をノックダウンしたHepG2、 SW480細胞ではUGT1A1、 CYP2B6、 CYP3A4 mRNAsやタンパク質の発現亢進が認められた。またヒト肝臓Chang liver細胞のCDK 2をノックダウンした場合も、UGT1A1、 UGT1A6、 UGT2B4、 UGT2B7、 UGT2B15の発現が顕著に増大しており、細胞周期に依存してCDK 2がこれらの酵素の発現を負に調節していることが示された。PXRをノックダウンするとroscovitineによるCYP3A4の発現亢進が抑制されたが、CARやPXRをノックダウンしてもUGT1A1、 CYP2B6の発現に影響が認められなかった。これらの結果からUGT1A1、 CYP2B6の発現がCDK2を介してCYP3A4とは異なる機序で抑制的に制御されていることが示された。
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