2010 Fiscal Year Annual Research Report
サイクリン依存性キナーゼによる肝薬物代謝酵素活性制御機構の解明
Project/Area Number |
21590170
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
三輪 匡男 静岡県立大学, 薬学部, 名誉教授 (10046287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅谷 純子 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (30098131)
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Keywords | サイクリン依存性キナーゼ / 肝薬物代謝酵素 / 発現制御 / 核内受容体 / シグナル伝達 / 転写調節 / CDK2 / 細胞周期 |
Research Abstract |
細胞分化、増殖時の細胞周期制御メカニズムの研究を進める過程で、種々のサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤を用いて薬物代謝酵素(UGT1A1、 CYP2B6、 CYP3A4)の発現レベルに及ぼす影響について検討した結果、roscovitineがこれら薬物代謝酵素の発現を有意に亢進させることを見いだした。Roscovitineは主にCDK2抑制効果を示すことから、CDK2 siRNAを用いてCDK2をノックダウンすると、薬物代謝酵素の発現が有意に亢進した。さらに、細胞周期に依存した薬物代謝酵素の発現変動を検討するため、double thymidine block法によってS期に同調させた細胞を用い、FCS存在下で再び生育を開始させたところ、CDK2のリン酸化(活性化)に伴い、UGT1A1、 CYP2B6の発現が抑制され、一方、CDK2が脱リン酸化されると発現が亢進されることから、CDK2の活性化が薬物代謝酵素の発現を負に制御していることを示す結果が得られた。RoscovitineによるUGT1A1の転写活性化機序を解析したところ、PXRの寄与が最も高いことが示された。PXRのDNA結合部位あるいはリガンド結合部位に存在するSer/ThrをAlaあるいはAspに変異させたPXRを用いて、発現に及ぼす影響を解析したところ、Thr^<57>、 Thr^<290>、 Ser^<350>、 Thr^<408>をそれぞれAspに変異させると、UGT1A1の発現が強く抑制されることが認められた。YFP-PXR融合蛋白質を発現させ核内移行を解析したところ、Thr^<290>、 Thr^<408>の変異により核内移行は抑制されたがSer^<350>の変異は核内移行に対しては影響を認めなかった。CDK2の基質特異性がSer^<350>に認められることから、CDK2はPXRの核内での活性化を抑制することにより薬物代謝酵素の発現を負に制御していることが示唆された。
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