2009 Fiscal Year Annual Research Report
血液-組織関門を形成する細胞群のヒト細胞株の樹立と低用量抗がん薬の作用機序解明
Project/Area Number |
21590175
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中島 恵美 Keio University, 薬学部, 教授 (90115254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
登美 斉俊 慶應義塾大学, 薬学部, 講師 (30334717)
西村 友宏 慶應義塾大学, 薬学部, 助教 (40453518)
巨勢 典子 慶應義塾大学, 薬学部, 研究員 (60348612)
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Keywords | 抗がん剤 / 血管新生 / 腫瘍増殖抑制 / 骨髄由来血管内皮細胞 / 管腔形成能 / 遊走能 / タキサン系抗がん剤 / 微小血管密度低下 |
Research Abstract |
化学療法に用いられている抗がん剤には殺細胞効果に加えて血管新生(angiogenesis)阻害効果も報告されているが、新血管新生(neovascularization)阻害は解明されていない。抗がん剤の血管新生抑制による腫瘍増殖抑制効果は殺細胞効果による抗がん作用より毒性の低い治療法として有益である。本年度は殺細胞効果を示す濃度より低濃度において得られる腫瘍増殖抑制効果の解明を目的とした。そのため、新血管新生に重要である骨髄由来血管内皮前駆細胞のモデルとしてラット骨髄由来血管内皮前駆細胞TR-BMEを用い、新血管新生に対するin vitro評価系及びin vivoモデルを構築し、ドセタキセルもしくはパクリタキセルの細胞毒性および管腔形成能、遊走能を解析した。タキサン系抗癌剤のin vitro評価系における細胞毒性のIC50値は、対照である脳血管内皮細胞TR-BBBやラット腫瘍細胞であるWalker256よりも高い値を示した。一方で、TR-BMEにおいて細胞毒性を示す濃度よりも低濃度で管腔形成および遊走を阻害することが示された。さらに、in vivoにおいてTR-BMEの腫瘍部位への集積をFACSにより解析したところ、低投与量のタキサン系抗がん剤はTR-BMEの腫瘍への集積を抑制した。またCD31染色により腫瘍内の微小血管密度低下が示された。以上より、これらタキサン系抗がん剤の新血管新生阻害により、細胞毒性の少ない腫瘍増殖抑制効果が示された。
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